西米良村
八重集落元気づくり新聞

平成21年3月11日
第3号
発行:国土交通省九州地方整備局

平成21年3月9日(月)に八重活性化センターで、第3回集落元気づくりワークショップを開催しました。

 
   小雨が降る中、八重活性化センターには約30名の方が集まり、今回も熱心な議論がされました。
 いよいよ最後のワークショップであり、集落元気づくりに向けた取組の実現に向けて、地区活動を行っている団体別(消防団、女性部、地区執行部他)に分かれて議論を行いました。
 自分たちが考えた4つのプロジェクトを何から始めるのか?既に実行され始めた取組や、なかなかやり手が見つからない取組まで、集落の未来を話し合う発言一つ一つには力がこもっていました。
 
あいにくの雨、でも会場は熱気に包まれていた



 
 第2回ワークショップで出された4つのプロジェクトの実現に向け、各プロジェクトの取組に対する役割分担と実施時期、実施する上での課題について話し合いました。

第3回ワークショップの目的

 前回で話し合われた4つのプロジェクトの実現に向け、「誰が」、「いつ」、「何を」行うのかを話し合い、特に今すぐ出来ることを決めることを目的としています。








   小雨が降る昼下がり、清さんは既に行動を開始していました。「ミツマタを見ながら話し合ったら雰囲気が出る」と山から取ってきたミツマタの鉢植えを集会所に持って来られました。
 今回のプロジェクトで最も重要な取組の一つであるミツマタ。ワークショップ開始早々、このミツマタの栽培、植え付けをどのように行うのか?具体的に議論が進んでいきました。
 清さん:「ミツマタの栽培は種、挿し木、株の移植の3種類ある。挿し木ができると楽なんだけどね」
 利美さん:「既に挿し木は試しているので、10月には付くかどうか結果がわかる」
 森下さん「ミツマタの皮を使った和紙づくりには大変な労力がいるし、ミツマタの育て方が違う。今回は観賞用に限定しよう」
 ミツマタの栽培が既に進んでいる中、後は植え付けをどうしよう?と悩む間もなく、全員で「光男さくら」の下に植え付けを行うことで話はまとまりました。





活性化センターに持ち込まれたミツマタ


光男さくらの下に既に挿し木済み




 

 ミツマタの植え付けの目処が立ち、光男さくらを利用したイベント開催を行うために、まずはライトアップをどのようにして行うのかが問題になりました。
 「投光器や発電機をどうしましょうか?」との問いかけに参加者からは、なかなか手が上がりませんでした。
 そのうち、消防団から、「ライトアップに利用できるライト及び発電機があるので、どこまで明るく照らせるかわからないが、まずやってみよう」
 「とりあえず消防団でライトアップのテストを行います。バーベキューの炭は用意しますので、食べるものは皆さん持ち寄って下さい。」と話はまとまり、会場も光男さくらを正面で見ることができる板谷川の対岸に決定。
 実施予定日はオフトーク放送でお知らせいたします。皆さんお聞きのがしなく。

 



さくらが満開になったら対岸でバーベキューをしよう


ライトアップ用投光器とバーベキューセットは消防担当


   消防団が10年後には7名から4名。とのことから消防団の定年問題から話し合いはスタートしました。しかし、その事情はお隣の板谷集落も同じ。この4月より板谷集落と八重集落の消防団を一つに再編し、広域的に見ていく方向で話を進めていくとの事前報告がありました。
 その後、話し合いは集団避難と自主防災組織の必要性について及びましたが、平成16年の台風以降は自主避難が根付いており、避難する際は今後も周りに声かけをしっかり行うこととなりました。台風や大雨などで災害が起こりそうな時は、ほとんどの人が松之元の集会所などへ自主的に避難をするのですが、浸水被害の及ばない高台に本宅を移した人もいました。
 今回の話し合いで、「避難する前に隣近所への声かけを行う(消防団が声かけリストを作成する)」、「避難所へ備蓄する食糧(3日程度)は、女性部おまかせとする」、「10月の生涯学習大会に合わせて炊き出し訓練を行い、備蓄食糧をみんなで食べ、災害時の経験を忘れない様に語り今後に活かす」等の取組を先ず行うことになりました。

高台の避難小屋はいつしか本宅に

災害用に備蓄する食糧は女性部が選ぶ予定



 

 プロジェクトの取組へ入る前に会場より、鳥獣被害ではなく、「獣害」であるとの訂正が入りました。
 獣害を食い止めるため、集落一体となった取組が必要であることは皆が理解しています。しかし、集落内で猟の資格を持っている人はたったの3名。
 銃の免許取得は手間と費用がかさみ、なかなか出来ない。罠はどうだろうか?
 実際に取り組む段階で、その困難さを会場一同が痛感します。


鹿に皮を食べられたヒノキ。長年育てた材木の価値が・・・

(上写真)猟銃は直ぐには無理と諭す森下さん
(下写真)罠猟について説明する桐山さん
 獣害の問題に集落だけで対策を取っていくのは難しく、西米良村全体、宮崎県や熊本県も含む広域的な取組が必要である、との意見も出されました。
 その後、狩猟免許を持っている人から、猟についての具体的に説明もあり、集落としては、数名が罠の免許取得から取り組みを始めようということになりました。

 
 

 ワークショップに参加された皆さんの感想を紹介いたします。 

 代表的な感想
  • 今の私達に出来るのだろうか?という事を考えさせられました。何をするにも限界が有ったり、でも出来るゾ!というところまでの発見も有り、この三回の収穫は大きいです。
  • 若者から高齢の方までの会の中で、全ての人が内容を理解し、一つのことを全員で考える方法が素晴らしいと感じました。
  • 意外と難しい問題が山積みなのだなと思った。
  • 前二回は、思いついた事や地区の方々の話を聞いたりと面白い発見が多かったのですが、今回の現実に実行となるとなかなか難しい事が多いな、と思いました。現実はなかなか…です。
  • 地域の人たちの意識、気付き、見方などに少しでも変化が見られたようで良かった。これが全て良かったってことにはならないかもしれないが、きっかけづくり的にはとても良かったと思う。又、総会前のこの時期というのが、より良かったと思う。
  • 生き甲斐を感じます。是非成功したいです。
  • これからの八重を思うことができた。 






最後に熱く所信表明する清さん


 
   第1回ワークショップに続き、宮崎大学の吉武先生に第3回ワークショップのアドバイザーとしてお越しいただきました。先生の講評です。
 「本日はみなさんが積極的に話をされ、難しい問題もありましたが「とりあえずミツマタ」をキーワードにして、活動しようと決まったことは大変良かったと思います。たった3回のワークショップで、ここまで話が具体化するのはまれであり、今後が楽しみです。
 今から活動を行うのは皆さんであり、誰かがチェックするからやるというモノではありません。
 もし、声をかけていただければ応援にきて、一緒に楽しもうというスタッフの方もたくさんおられると思います。
 今後も、皆さんが色々な人と関わり、みんなが楽しめ、それぞれが何か役割を持っていることを、ミツマタを機にして出発できれば、活動に広がりが出てくると思いますので皆さん協力して頑張って下さい。」プロジェクトを実行する際は我々も呼んでいただけることを楽しみにしております。

ワークショップ終了後に講評される吉武先生


《編集後記》
 みなさま年度末のお忙しい中、ワークショップへの参加及び熱心な議論ありがとうございました。短い期間でしたが、皆様とお話ししているうちに、私どもスタッフも八重の良さなどが分かり、今後の集落問題を考えていく上で多くのことを学ばせていただきました。
 「ミツマタ」、「花見」、「集団避難訓練」、「獣害対策」への取組が、皆様の元気と不安解消へとつながることをスタッフ一同祈念いたします。イベント開催時は是非誘ってください。



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