先に刊行された「大淀川流域 地名いわれ事典」は、私たちの生活圏である大淀川流域に、あらためて関心を深める役割を果たしました。
今回、さらに視野を広げて、大淀川と小丸川の本川・支川と、そこに架けられている橋の名前についても、そのいわれを収録することになりました。川の名前も橋の名前も、本来そこの地名に基づいているもので、多くは地名のいわれを語っているということができます。
土地や川や橋に名前が付けられるのは、人々との生活との関わりによってであります。そこに住む人々と何の関係もなければ、名前は生まれないのです。土地に人が住んで生活するようになったから村の名前が生まれ、川や橋を人々が利用するから呼び名が付けられるようになったのです。このように考えていくと、川や橋の名前は、地名と同じように人間の暮らしの歴史を物語っているということができます。川の名前も橋の名前も地名なのです。
また、これらの名前は、それによって、場所・土地の状況などをよく表しているものもあります。東岳川といえば、東岳という山から流れ出ていることがわかります。赤江大橋といえば、赤江にあることがわかります。橋の名前は、人々がそこを通行してどこかへ行くのですから、場所を表していることが必要であったと思われます。
川の名前で、荒川とか岩瀬川とかいうと、川の様子を想像することもできます。川の名前・橋の名前を調べることは、私たちにとって人間と自然との関わりの深さを学ぶことになるのです。今まで何気なく聞いていた川の名前・橋の名前に関心を持つことによって、私たちは生活をより広く、より深く考えることができるようになると思います。
この事典は、大淀川と小丸川という宮崎県の二大河川をとりあげています。海岸から山奥まで流れをたどって、川と橋の名前を調べています。土地の様子が変化していくのが、よくわかるような名前が出てきて、興味が深まると思います。
この事典の活用を通して、皆さんが大淀川・小丸川を好きになってくださることを願っています。


平成20年3月20日       
監修者 甲斐 亮典


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