![]() |
||
![]() |
昨年7月19日福岡県北部の筑豊地方で、梅雨前線による局地的集中豪雨が発生し、飯塚市では1時間に83mmという昭和11年の観測開始以来の猛烈な雨を記録しました。この出水により遠賀川の支川・明星寺川などで越水がおき、あふれ出した水は飯塚市内中心部に流出しました。幸い、人的被害はありませんでしたが、商店街が水に浸かり商品が全滅になるなど地域経済に大打撃を与えました。昨年の出水から1年目を迎える平成16年7月19日に飯塚市のコスモスコモンにおいて「遠賀川7.19地域防災シンポジウム」を開催しました。 |
|
当日は地域の方々及び行政の防災担当者など約300人が来場 |
||
本シンポジウムは、昨年の洪水被害や、毎年のように全国各地で発生している集中豪雨による洪水被害の発生を鑑み、地域の方々一人一人が今後も起こりうる洪水対して「どのように対応していけばよいのか」「どう備えていけばよいのか」などについて、地域の方々と共に考えていく場として、7.19浸水対策連絡協議会遠賀川部会(構成:学識者、飯塚市、穂波町、福岡県、遠賀川河川事務所)の主催により開催しました。
|
![]() |
||
主催者挨拶(田井中遠賀川河川事務所長)
|
開催地挨拶(江頭飯塚市長)
|
|
![]() |
||
河田教授による基調講演
|
講演中の会場の様子
|
|
第1部は、国内外で防災の研究をなされている、京都大学防災研究所巨大災害研究センター長・教授の河田先生に「自助・共助による水害対策」と題して基調講演を頂きました。昨年遠賀川で発生した出水がどのようなものだったか、このような出水に対して「住民は自ら防災対策を考える努力が必要。」、「どのようなことが将来起きるか思いをはせないと被害に巻き込まれる。」や「地域ぐるみで防災対策を行っていかなければいけない。近所づきあいが大切。」などと、自助・共助の大切さについて講演されました。
|
||
![]() |
||
7.19被害者の会 代表世話人の有松さん |
パネルディスカッションの様子
|
|
第2部では、藤吉NHK解説委員をコーディネーターとして、 「大洪水から1年〜私たちはいま何をすべきか〜」をテーマに、約1時間30分のパネルディスカッションを行いました。 河田先生は、あらためて自助共助の大切さについてパネルディスカッション内でも話されました。 7.19大水害被害者の会代表世話人の有松さんは、「災害に対する備えを常に持 っておかなければならない。いざというときには被災地に一番近い地域住民が初期活動をしっかりやらなければいけないと考えた。行政の対応を待っていたのでは間に合わない。住民の努力も大切だ。」などの意見を頂き、地域で防災組織を結成したこと、避難の心得や災害時の主要連絡先などを載せたチラシを作ったこと、などの紹介がありました。 九州工業大学名誉教授である浦先生からは、昨年の遠賀川の水害がどのようなものだったかを説明して頂き、 「如何にして、洪水被害を最小に抑えることができるか、また、地域が協働し災害に強い地域づくりを目指す事が重要」などと、河川工学の視点から話をして頂きました。 キャスターの山本さんからは、住民の視点から防災への対策について「防災の意識をもっと高めていきたい。」「防災情報を携帯やパソコンで見られるそうだが、特に年配の方々には操作が難しい。ブックマークやお気に入りに登録すれば簡単に見られるようになるので、今日配られたパンフレット等を見て、私も勉強したい。」などの話を頂きました。 行政からは、この1年間のソフト・ハード対策について具体的に対応したことを報告しました。 最後にコーディネーターの藤吉さんから、今回のパネルディスカッションのまとめとして、 |
||
・住民と行政が協力して情報収集等を行う 。 | ||
・これからの地域防災対策については、地域住民と行政が一緒に考えていくことが必要である 。
|
||
・防災に対する河川行政と地域住民の役割や、防災とは、自助と共助も重要である 。
|
||
などを再確認し、パネルディスカッションを締めくくりました。 | ||
![]() |
||
シンポジウム終了後、携帯電話から河川情報を入手する方法として、遠賀川河川事務所職員が携帯電話にアドレスの入力やブックマークへの登録及びホームページ内での情報の見方などを説明するコーナーを設置したところ、住民の方々は熱心に説明を聞かれていました。
|
||
携帯電話による河川情報の入手方法等の説明状況 |
![]() |
|
■基調講演・パネリスト | |
![]() |
河田 惠昭 |
京都大学防災研究所巨大災害研究センター長・教授 | |
巨大災害や都市災害、総合減災システムなどを専門に国内外で研究活動を行っている。'02年には、人と防災未来センター長に就任し、防災教育にも力を入れている。中央防災会議「東海地震に関する専門調査会」、「東南海、南海地震等に関する専門調査会」等の委員を務める。主な著書に「自然災害の危機管理」「都市大災害」など。 | |
■パネリスト | |
![]() |
有松 賢作 |
7.19大水害被害者の会の代表世話人 | |
中国・天津市生まれ。終戦後、飯塚市に移り住む。嘉穂高から立教大学経済学部、東京農工大学醸造科卒。1966年に父の後を継ぎ、しょうゆ醸造会社「筑豊食品工業」社長に就任。2003年7月19日浸水被害に遭遇し、飯塚市中心部の被災者たちに呼びかけ、「7.19大水害被害者の会」を発足させ、代表世話人となる。現在、飯塚山笠の東流れ山頭として活躍中。 | |
![]() |
浦 勝 |
九州工業大学名誉教授 | |
1965年九州大学大学院土木工学専攻修士。建設省土木研究所、山口大学助教授を経て、'87年九州工業大学教授。工学博士。2002年退官。雨による川の流れの速さや水位などを研究する水工水理学、土木史を専門とする。遠賀川のリバーカウンセラーとして、総合的な川づくりに貢献している。 | |
![]() |
山本 華世 |
キャスター | |
福岡市生まれ。中村学園短期大学卒業(バスケットボール国体代表)。現在は同校の特別講師をはじめ、九州朝日放送(KBC)、福岡放送(FBS)などテレビでキャスター、ゲストコメンテーターとして活躍。また、朝日新聞にて「山本華世の博多座だより」を連載中。1993年KBCテレビ「山本かよの妊娠日記」で日本民間放送連盟・テレビ部門最優秀賞を受賞。 | |
![]() |
上瀧 征博 |
飯塚市助役 | |
2002年7月飯塚市助役に就任。2003年7月19日の豪雨により発生した水害では、災害対策本部副本部長として災害の対策に尽力。 | |
![]() |
岡松 義規 |
穂波町助役 | |
1998年8月穂波町助役に就任。2003年7月19日の豪雨によりにより発生した水害では、災害対策本部本部長として災害の対策に尽力。 | |
![]() |
田井中 靖久 |
国土交通省遠賀川河川事務所長 | |
2002年7月事務所長に就任。2003年7月19日の豪雨によりにより発生した水害では、遠賀川河川事務所の風水害対策支部長として、支部を統括し、陣頭指揮。 | |
■コーディネーター | |
![]() |
藤吉 洋一郎 |
大妻女子大学文学部教授・NHK解説委員 | |
大妻女子大学文学部教授でNHK解説委員。東京大学工学部都市工学科卒業後、1966年からNHK記者として社会部などに勤務、'91年より解説委員、'02年より現職。数々の事故・災害などを担当し取材する。専門は防災・気象・都市問題など。主な著者も「全島避難せよ〜伊豆大島大噴火」「備えあれば憂い少なし」など。 | |