遠賀川(おんががわ)の移(うつ)り変(か)わり

　遠賀川(おんががわ)は、古(ふる)く丘陵地(きゅうりょうち)である『岡縣(おかのあがた)』という地域名(ちいきめい)から名(な)づけられました。そして、その流域(りゅういき)は肥沃(ひよく)な土壌(どじょう)と豊(ゆた)かな水量(すいりょう)を元(もと)に、古(ふる)くから人々(ひとびと)の生活(せいかつ)の場(ば)となっていました。

　古(ふる)くは縄文時代(じょうもんじだい)の貝塚(かいづか)、弥生時代(やよいじだい)の鏡(かがみ)や鋼剣(どうけん)などが出土(しゅつど)するほかに、九州(きゅうしゅう)でも数少(かずすく)ない前方後円墳(ぜんぽうこうえんふん)の遺構(いこう)が見(み)られます。

　奈良時代(ならじだい)には最大(さいだい)支流(しりゅう) の彦山川(ひこさんがわ)の源流(げんりゅう)にある英彦山(ひこさん)で修験道(しゅげんどう)が栄(さか)え、江戸時代(えどじだい)には筑前(ちくぜん)の穀倉地帯(こくそうちたい)としての期待(きたい)から、洞海湾(どうかいわん)とつながる総延長(そうえんちょう)12ｋｍの運河(うんが)『堀川(ほりかわ)』も作(つく)られました。

　下図(かず)からもわかるように、河道(かどう)は洪水(こうずい)によって変(か)わったり、後年(こうねん)作(つく)られた運河(うんが)によって形(かたち)づくられ、数百年前(すうひゃくねんまえ)には現在(げんざい)より西(にし)へ大(おお)きく曲(ま)がっていたと考(かんが)えられています。