第6回 ふくおか水もりじまん! 北九州大会 基調講演

テーマ  福岡県の「川の魚」の話
 講師  中島 淳氏  
   九州大学大学院工学研究院
 九州における河川生物の分布・生活史と保全対策に関する研究
 農学博士
 
九州には川や河口・干潟がたくさんある。                                     
  代表的な川の生き物 その1 魚類 
    純淡水魚(川の魚) 一生を淡水域で過ごす種
      川のみで過ごす。
川とワンド・湿地を行き来する。
ワンドや湿地のみで暮らす。
                         
    通し回遊魚  産卵や成長のために海水と淡水を行き来する種                  
       海と川を行き来する。                          
    汽水魚類 一生を汽水域や干潟で過ごす種。もしくは摂餌や成長のために川に侵入する種。  
       汽水域で過ごす
  代表的な川の生き物その2   昆虫類 
  代表的な川の生き物その3    両生類・爬虫類
  代表的な川の生き物その4   貝類  
 ※  汽水域とは、河口の水や海岸近くにある湖のように、海水と淡水とまじりあい、塩分の少ない区域。
     
福岡県の川の魚の特徴                                      
  回遊・汽水魚類相は3地区でことなる。 3つの異なる海域に囲まれている。 
       日本海 北方系と南方系の回遊魚が見られる。
    瀬戸内海  西日本の内湾性魚類がみられる。                             
    有明海  大陸性の特異な魚類が見られる。             
  純淡水魚類相は2地域で分かれる。 
   
 

遠賀川はスジシマドジョウ中型類遠賀型・カセトラタナゴ・ギギ・ニッポンタナゴ・イシドジョウなどがいる

外来種が多い。もともとそこにいなかった種が生態系に入ると問題がある。(国内外から持ち込まれる)

 
   ブラックバス  在来魚類の捕食
   ブルーギル  魚類・昆虫の捕食
  バス   在来魚類の捕食
   カダヤシ  メダカの生息場所を奪う
     
 生物保存のために必要なこと
  何がどこにいるのかを知ること。生物相の調査。戸籍簿作製
重要な環境保全。保護区の設定。
再生すべき環境の決定。自然再生手法の検討。
   
 遺伝子のかく乱
  1.移動能力の低い淡水魚類は川ごとに、何万年もかけて進化・適応してきた。

2.人為的に混ぜ合わせてしまうと、歴史を消滅させ、川ごとの個性が失われてしまう。
   地方文化である。
 
3.環境修復を伴わない放流は意味がない
   環境が同じであれば、棲める魚の数は一定である。
   放流しただけでは魚は増えない。
   新たな魚が定着しても、それは元いた魚が死んでいるだけである。
     →魚を増やすには、魚が棲める環境を増やすことが大切。

※コイの放流
   コイは本来、琵琶湖や筑後川など大規模な水系に棲む魚である。
   小さな川やため池に放流すると、在来の植物や昆虫魚類の卵を食べつくしてしまう。
   生態系を破壊することが最近分かってきた。
   
 今後の生物保全の指針
  今いる生物をこれ以上減らさない。
環境に維持・環境構造の修復
地域の個性を生かしていく
   
どちらも大切!人間活動と生物環境の共存が要。川には魚以外にたくさんの生き物が暮らしている。
 

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