情報化施工技術セミナーを開催

セミナーの様子

 ICTを活用した新しい施工技術である情報化施工では、施工品質の向上や熟練度に左右されない高い精度の施工などを実現する方法として、さらなる普及・促進が大いに期待されています。
 国土交通省においても、平成25年度には全ての土工工事において『TSによる出来形管理技術』の一般化が目標とされ、それに伴い監督・検査要領の整備や試行工事の拡大の他、入札契約時の総合評価においても提案項目に加えるなど、その技術の普及への取り組みを拡大しております。

 今回の情報化施工技術セミナーは、国土交通省 雲仙復興事務所、(社)日本建設機械化協会 九州支部、(社)日本道路建設業協会 九州支部、鹿島道路株式会社 九州支店の共催、(社)長崎県建設業協会島原支部の後援で、関係者ら約100名が参加し11月18日に島原市平成町の復興アリーナ(サブアリーナ)にて開催されました。

 また、国土交通省雲仙復興事務所が直轄する「長崎251号眉山トンネル(島原中央道路)」において、道路舗装工事を中心とする「情報化施工」導入の「メリット」を広くご理解いただくため、長崎県内のトンネル舗装工事に初めて適用した3D−MCコンクリートスリップフォームペーバ(CSP)による情報化施工見学会を開催しました。


○講演
雲仙復興事務所長の挨拶  情報化施工技術セミナーは、雲仙復興事務所長の挨拶に始まり、同技術副所長より「雲仙復興事務所における情報化施工の取り組み」として無人化施工技術における様々な情報化施工の紹介がありました。

 次に(社)日本機械化協会から「情報化施工に関する最近の技術動向について」としての紹介で、一般の製品は「造る物を動かせる」ので製造ラインの様に自動化できるが土木施工(施工機械)の場合は「造る物が動かせない」ため自動化が難しい等の事例や情報化施工の経緯・実例についての講話がありました。

○現場見学会
 次に「長崎251号眉山トンネル(島原中央道路)」の舗装工事現場へ移動し、3D−MCコンクリートスリップフォームペーバによる情報化施工見学会を開催しました。
 これは長崎県内のトンネル舗装で初めて採用したものであり、コンクリート舗装で行う一連の作業(材料の撒き出し・敷き均し・締め固め・表面仕上げ)を行うもので、さらに、作業機械自体が測量機器(TS)と連携し、自動制御により設計データどおりの施工を行うものである。
 ※従来のスリップフォームペーバは事前に測量を行い設置した「センサライン(センサが基準とするガイド)」を設置していたが、「3D-MC」においてはセンサラインの設置が必要なく安全に作業できる。

3D−MCコンクリートスリップフォームペーバによる情報化施工


情報化施工
 現在、建設現場では汎地球測位航法衛星システム(GNSS)やトータルステーション(TS)などの高度な測位システムの導入が進み、測量や検査に使用されています。
 このような情報通信技術(ICT)と電子化された施工図などのデータを活用することによって、施工現場では測量などの計測作業の合理化、建設機械の自動制御やナビゲーションによる品質、精度の向上、丁張なしでの施工による施工効率の向上が期待できます。
 また、出来形管理においても施工中のデータを電子的に記録できることから、任意点での計測が容易となり、施工者の品質管理・帳票作成作業、発注者の監督・検査業務においても、効率化できることとなります。

公共事業における情報化施工の概要:情報化施工とは九州地方整備局

ICT(Information and Communication Technology)
 情報通信技術の総称:国内では 同様の言葉として「IT(Information Technology:情報技術)」の方が普及しているが、国際的にはICTの方が通りがよい。
 従来使われてきた「IT」に替わる表現として「ICT」も国内で定着しつつある、総務省の「IT政策大綱」も「ICT政策大綱」となっている。

GNSS(Global Navigation Satellite Systems)
汎地球測位航法衛星システムの総称(いわゆるGPSはアメリカの運用用語)

TS(Total Station トータルステーション:測量機器)
 測量機器の一種で、距離(光波測距)と水平・垂直の角度を同時に計測できる機器で、狭い範囲の高精度測量に一般的に使われている。
 計算機と組み合わせ、距離と角度を同時に測ることで、機器の置かれている座標や対象物の座標を瞬時に計算できる。
 計測のターゲットとして、どの方向からでも発信された光波(レーザー等)を元の方向へ返す「反射プリズム」を使用する
 ちなみに、この「プリズム」を直接見た場合、どの方向から見ても自分の目が映る。

3D−MC(3Dimension Machin Control:3次元マシンコントロール)
、情報化施工との組み合わせで、設計データに基づいた高さ・勾配などの三次元情報を測量機器と施工機械が情報のやりとりを行い、施工機械路自動的にコントロールするシステム。
 縦断・横断勾配や平面形状の変化に対して機械側が自動制御なため、重機オペレータの負担の軽減や施工制度の向上、また、夜間等でも昼間と同等の作業が可能。

 今回の情報化施工においては、施工機械に「反射プリズム」が取り付けられており、離れた場所に設置したトータルステーション(TS)がこのプリズムを「自動追尾」することによって、移動する機械の自動制御を行っている。


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