【第14回 平成新山防災視察登山】
平成23年11月21日、九州大学地震火山観測研究センターと島原市の共催による「第14回平成新山防災視察登山」が行われました。
この視察登山は九州大学地震火山観測研究センターが行う平成新山山頂付近の定期観測にあわせ、噴火活動が終息した平成7年から実施しており、今回は防災関係者(国・消防・警察・自治体関係者)や報道関係者など約60名が警戒区域内の平成新山へ登りました。
今回の視察登山では、来年の5月に開催される「ジオパーク国際ユネスコ会議」にあわせた登山道の解放と環境省が整備を計画している「新登山道」の視察を兼ねて行われました。
今回の登山コース 【PDF 515KB】
集合時間の8:45には約60名の関係者(雲仙復興事務所からは3名の職員が参加)が仁田峠駐車場へ集合、この時点で天気は晴れてはいましたが山頂付近は雲に覆われている状況。
島原市による参加者の確認(今回のコースでは警戒区域内へ立ち入る事になるため、参加者は事前に「警戒区域入山申請書」提出)がされいよいよ登山開始です。
まずは仁田峠からロープウェイに乗って妙見駅まで、60名という大所帯のため数回に分けての搭乗でした。
9:25頃
妙見駅から登山道へ入り国見岳方面へ「妙見カルデラ」沿いの登山道を歩き、途中「妙見神社」を経由し、国見岳の手前から「紅葉茶屋」の方向へ降ります。
9:50頃
噴火災害により「立入禁止」となった登山道のゲートへ到着、ここで再度参加者の確認がされ、いよいよ警戒区域内へ。
ここからの登山道は普段一般の人が入れないため草木が多少生い茂り、倒木などもそのままの状態、足下は苔が生えていたり・・・・
10分程で「風穴」に到着(入り口付近にはつららが下がってました)、ここは夏場でも気温が4度程度であり「氷室」として使用されていた場所でもあり現在は九州大学地震火山観測研究センターの観測機器が設置されています。
さらに15分程で2つ目の「風穴」に到着、ここからしばらく歩くと噴火災害で登山道が途切れています。昔はここからぐるりと廻って「普賢神社」まで行けたそうです。
ここからは「新登山道予定ルート」を溶岩ドームの麓まで登ります。
10:50頃
溶岩ドームの麓で新登山道(予定)を離れると草木もほとんど生えていない状態、ここでも水蒸気が噴出している箇所があり、その水蒸気があたる部分には霧氷状態の氷がついていました。
ここで、山頂付近の様子を確認し登るかどうかの最終的な判断がされた、
ここからは、登山道ではなく「岩を登る」のだが、大きく尖った岩がただ積み重なっている状態であるため、部分的には不安定な(グラグラする)部分もある。
そのため、ルート上の岩には(比較的)安定した岩にペイントがされており、そのルート沿いに登っていく。
11:30頃
約40分程登り、ようやく山頂付近へ到着(60名が一列に登るので最初の人が登り着いてから最後の人まで15分程かかりました)、山頂は風が強いためとても寒く、なるべく風の当たらない場所でお昼ご飯のおにぎりを食べようとしましたが、そのため手袋を外すのがためらわれるくらいでした。
山頂では九州大学のメンバーによる噴気(水蒸気)の温度観測が行われ、今回の調査では89度、観測初期(平成7年)では500度近くあった噴気も年々温度が下がり「測定する度に温度は下がっており、新たなマグマの供給が無い状態で火山活動は安定している」との説明がありました。
山頂をぐるりと一周、国土交通省が溶岩ドームの移動を観測するための「反射プリズム」が設置されており近くまで行けるらしいが、近くで見る「第11ローブ」はかなり迫力があり誰も近づこうとはしなかった。
山頂からは、島原市内が一望できるが、3日前に降った雨のせいか(18日は島原半島に大雨警報が発令されていました)山頂付近からの噴気が多く水無川方面は見ることができませんでした。
13:40頃
下山開始、登る時は両手両足が使えたが、下りでは勝手が違い両手がうまく使えない状態の下山となる。特にテレビカメラを持った報道関係のカメラマンは本当に大変そうだった。
14:10頃
30分程で降りるとここからは新登山道(予定)を普賢岳へ向けてのルートを歩く。
新しいルートはまだ整備がされていないためほとんど「けもの道」状態、木が伐採されていないため邪魔な枝を避けたり、足下に大きな穴が空いていたりのルートであるが、環境省の説明では「いろいろ散策し何とかましなルート」とのこと、整備はこれからであるが資材の運搬にモノレールは使用せず人肩運搬で行うことの説明があった。
30分程でようやく旧登山道へ出た、ここで一旦「霧氷沢」へ向かう。
「霧氷沢」は最後まで霧氷が残る場所なのでこの名が付いた場所で、ここで登山道は噴火災害のため途切れている、登山道の解放時には折り返しルートとなる予定。
14:50頃
ようやく普賢岳側のゲートへ到着、ここからは一般の人も入れる場所で、10分もかからず普賢岳山頂へ。普賢岳の山頂から先ほど通ったルートと平成新山を確認できました。
ここからはただ帰るだけの最後の行程となります。途中「紅葉茶屋」「アザミ谷」を経由し約1時間では出発地点の仁田峠へ到着しました。
参加者の皆様お疲れ様でした。
【視察登山 状況写真】
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