 |
 |
 |
 |
環境と生物の概要
河口干潟は、上流から流れてきた土砂が堆積し、干潮時に陸地として出現する場所です。潮汐にともなう干出、冠水のくり返しという頻繁な環境の変動が河口干潟の特徴で、河口干潟には固有の生物が多く生息し、旅鳥であるシギ・チドリ類の渡りの中継地としても重要です。
<植物>
●シオクグ、フクド等の塩生植物が生息する
●大野川の河口部では砂丘植物、ハマヒルガオなどの砂丘植物 が生育する
●特定種のハマサジ、ウラキグ、シバナが生息する
<底生動物>
●ゴカイ類、カニ類、貝類等が多い
●特定種のハクセンシオマネキが生息する
<鳥類>
●シギ、チドリ類、カモメ類が採餌場、休息場として利用する
<陸上昆虫類>
●特定種のヨドシロヘリハンミョウが生息する |
 |

乙津川乙津橋下流
(2キロ付近)の河口干潟

乙津川海原橋上流
(1キロ付近)の河口干潟
|
|
|
生物の利用
砂礫地は、出水により不定期に冠水し撹乱を繰り返す場所です。
日常的には乾燥が激しい劣悪な環境ですが、このような環境に耐える生物が生息しています。
また砂礫底は、魚類、水生昆虫類の生息場、産卵場、餌場として重要です。
<植物>
●ツルヨシ等の出水に耐える植物、コセンダングサ等乾燥に耐 える河原植物が生息する
<魚類>
●砂礫底はカマツカ、ヌマチチブ、アユ等の砂礫底を好む魚類が
生息する
<鳥類>
●人の近づきにくい砂礫底は、チドリ類、特定種のコアジサシの
繁殖場として利用される |
 |

大野川9キロ付近の
砂礫地(河原)

大野川18キロ付近の
砂礫地(河原)
|
|
 |
|
 |
 |
|
 |
生物の利用
◆瀬は水深が浅く、河床勾配が急で 流速が速い場所です。付着藻類、水 生昆虫が多く、魚類の餌の供給場 所であるとともに、産卵場として も利用されています。
<魚類>
●アユ・オイカワは瀬の石に生える付着藻 類を餌とする
●アユ・ヨシノボリ類は早瀬を、ウグイは平瀬を産卵場とする
<底生生物>
●トビケラ類は捕獲網をつくり、生物体や 藻類等を捕食する
◆淵は水深が深く、流速は遅いため河床には
砂泥堆積する
瀬で生産された藻類や水生昆虫が流入し、
魚類の餌場となる
アユ等瀬に生息する魚類の休息場、
避難場、稚魚の生育場ともなる
<魚類>
●カワムツ、ウグイは主に淵に生息し採餌する
<底生生物>
●カゲロウ類は淵の砂礫底に穴を掘って生息する |
 |

大野川9キロ付近の
早瀬(アユ産卵場)

大野川18キロ付近の早瀬
|
|
|
生物の利用
ワンドは止水域で、深さ、底質が変化に富み河道と連続しています。
水際にはヨシ等の抽水植物が生息し、多様な魚介類、底生動物の生息場、繁殖場となっています。
<魚類>
●フナ等流れの穏やかな水域を好む魚類の生息場となっている
●稚魚の生育場、出水時の避難場、産卵場として利用する
<両生類・は虫類>
●カエル類、カメ類が、繁殖場、餌場として利用する
<鳥類>
●カモ類などの水鳥が休息場、避難場として利用する
<昆虫類>
●トンボ類がヤゴの生育場、成虫の生育場、産卵場として利用する |
 |

大野川7キロ付近のワンド

乙津川3.7キロm付近のワンド
|
|
 |
|
 |
 |
|
 |
生物の利用
陸域と水域が接する水際は、二つの異質な生息環境が接する推移帯(エコトーン)として重要な場所です。
水際には、抽水植物を主にした湿生の植物が生息しています。
感潮域の下流ではヨシ・アイアシ群落、中流ではツルヨシ群落が代表的な群落です。
<植物>
●特定種のタコノアシ、ミゾコウジュ、カワヂシャが生息する
<魚類>
●コイ、フナ類は水中で水辺の植物の根元に産卵する
<鳥類>
●オオヨシキリ、カイツブリはヨシ原を営巣地として利用する
●その他の鳥類もねぐら、餌場として利用する
<昆虫類>
●オジロサナエ等のトンボのヤゴは抽水植物の根元に生息する
●トンボ類は羽化の時水辺の植物を伝い陸上にあがる |
 |

乙津川中島橋周辺
(3.6キロm)のヨシ原

乙津川中島橋下流のヨシ原
|
|
|
生物の利用
高水敷は、オギ、チガヤ等のイネ科植物により草丈の高い草地が形成されています。
定期的な草刈りが行われる場所は、草丈の低い草地が維持されており、草丈の高い草地は鳥類や小動物の生息場や繁殖場として、草丈の低い草地は昆虫類の生息場として重要です。
<小動物>
●カヤネズミはイネ科に生息し巣をつくる
●ネズミ類、モグラ類は高水敷の草地に巣を掘る
<鳥類>
●ヒバリ、ホオジロ、セッカ等は高茎草地を営巣地、餌場として 利用する
●小型鳥類や小動物を餌とする猛禽類の餌場としても利用され る
<昆虫類>
●チョウ類、バッタ類、カメムシ類は高水敷や堤防法面の草地を 生息場として利用する |
 |

大野川7.5キロ付近の高水敷

大野川9.4キロ付近の高水敷
|
|
 |
|
 |
 |
|
 |
生物の利用
ヤナギ林は、冠水頻度が高く他の樹木が生育できないような水際に形成されます。
ヤナギは地中深く根を張り地上部が柔軟なため、出水に耐えることができます。
<魚類>
●枝葉から水面に落下した昆虫類や葉は、魚類や水生昆虫類の 餌となる
<鳥類>
●小鳥類がねぐらや止まり木として利用する
●サギ類の営巣場としても利用される
<陸上昆虫類>
●コムラサキの幼虫はヤナギの葉を食草とする |
 |

大野川17キロ付近右岸のヤナギ林

大野川のアカメヤナギ
|
|
|
生物の利用
みお筋が安定するとヤナギ林が遷移し、エノキ等の高木林が形成されます。
高木林は、多様な鳥類、小動物、昆虫類の生息場や繁殖場となっています。
また、水面に張り出した枝は日陰をつくり水温を安定させ、落下する葉や昆虫類が水生動物の餌となっています。
<魚類>
●水面に張り出した枝葉は、日陰や餌を供給する
<哺乳類>
●イタチやタヌキ等小動物のねぐら、餌場となる
<鳥類>
●樹上や樹洞は鳥類のねぐら、営巣地となる
●またミサゴ、カワセミ等魚をねらう鳥類の止まり木となる
<昆虫類>
●コウチュウ類等森林性の昆虫の生息場となる |
 |

大野川大南大橋上流左岸
(184キロ付近)の竹林

大野川12.8キロ付近の
アラカシ林(サギ類集団ねぐら)
|
|
 |
|
 |