河川整備基本方針

川内川水系河川整備基本方針の策定について

川内川水系の河川整備基本方針については、平成19年2月8日付けで国土交通大臣から社会資本整備審議会会長へ意見を求めていたもので、社会資本整備審議会では本審議を平成19年2月23日付けで河川分科会へ付託し、これまで河川整備基本方針検討小委員会において2回の審議を行ってきました。

その後、平成19年6月15日に開催された『社会資本整備審議会河川分科会(第27回)』において、河川法第16条第3項に基づき、川内川水系河川整備基本方針の審議が行われ、今回の河川分科会をもって審議が終了し、川内川水系の河川整備基本方針が平19年8月16日に策定されましたので、お知らせいたします。

川内川水系河川整備基本方針策定までの経過_図

 

川内川水系河川整備基本方針

河川整備基本方針は川内川水系における治水、利水、環境等の河川管理の長期的な方針を総合的に定めるものです。その内容には、既定計画の工事実施基本計画で記述のなかった河川環境の整備と保全や維持管理等に対する考え方を新たに記載しています。

(1)災害の発生の防止又は軽減に関しての概要

川内川水系では、未曾有の被害をもたらした平成18年7月洪水等による災害から貴重な生命、財産を守り、地域住民が安心して暮らせるよう河川等の整備を図ります。

また、狭窄部を挟んで複数の盆地がひょうたん型に直列に繋がる特異な地形であることを踏まえ、水系全体としてバランスよく治水安全度を向上させることが川内川水系の治水の基本であるとの考えのもと、流域の豊かな自然環境や地域の風土・歴史等に配慮しながら、堤防の新設、拡築、河道の掘削等を行い、河積を増大させ、計画規模の洪水を安全に流下させます。

山間狭窄部、支派川の分合流部等については、洪水の安全な流下、河床の安定を図るため、洪水時の水位の縦断変化等について継続的な調査観測を実施します。河道で処理できない流量については、既設洪水調節施設の治水機能の向上を図るとともに、洪水調節施設を整備します。

内水被害の著しい地域においては、関係機関と連携・調整を図りつつ、必要に応じて内水被害の軽減対策を実施します。

川内川上流部においては、遊水機能を活かした洪水調節施設等によって河道への負担を軽減するとともに、堤防の新設、拡築、河道掘削及び分水路の整備による河積の拡大等を行い、計画規模の洪水を安全に流下させます。また、治水対策を早期かつ効果的に進めるため、河道や沿川の状況等を踏まえ、住民との合意形成を図りつつ、連続した堤防による洪水防御だけでなく、輪中堤や宅地の嵩上げ等の対策を実施します。

川内川の中流部においては、既設洪水調節施設の治水機能の向上や新たな洪水調節施設によって河道への負担を軽減するとともに、堤防の新設、拡築、河道掘削及び分水路の整備による河積の拡大等を行い、計画規模の洪水を安全に流下させます。また、治水対策を早期かつ効果的に進めるため、河道や沿川の状況等を踏まえ、住民との合意形成を図りつつ、連続した堤防による洪水防御だけでなく、輪中堤や宅地の嵩上げ等の対策を実施します。

川内川の下流部においては、引堤、堤防の新設、拡築及び河道掘削による河積の拡大等を行い、計画規模の洪水を安全に流下させます。

また、計画規模を上回る洪水が発生し氾濫した場合においても、被害をできるだけ軽減できるよう、必要に応じた対策を実施します。

さらに、既往洪水の実績等も踏まえ、洪水予報及び水防警報の充実、水防活動との連携、河川情報の収集と情報伝達体制及び警戒避難体制等、総合的な被害軽減対策を自助・共助・公助等の精神のもと、関係機関や地域住民等と連携して推進していきます。

さらに災害に強い地域づくりを実現するため、適切な土地利用への誘導等の推進、防災ステーション等の防災拠点の整備を行うとともに、ハザードマップの作成の支援、地域住民も参加した防災訓練等により災害時のみならず平常時からの防災意識の向上を図ります。

(2)河川の適正な利用及び流水の正常な機能の維持に関しての概要

河川の適正な利用及び流水の正常な機能の維持に関しては、現状において必要な流量は概ね確保されているが、広域的かつ合理的な水利用の促進を図るなど、今後とも関係機関と連携して必要な流量を確保します。

また、渇水等の被害を最小限に抑えるため、情報提供、情報伝達体制を整備するとともに、水利使用者相互間の水融通の円滑化などを関係機関及び水利使用者等と連携して推進します。

(3)河川環境の整備と保全に関しての概要

川内川流域の自然的、社会的状況を踏まえ、空間管理をはじめとした河川環境管理の目標を定め、良好な河川環境の整備と保全に努めるとともに、河川工事等により河川環境に影響を与える場合には、代償措置等によりできるだけ影響の回避・低減に努め、良好な河川環境の維持を図ります。

また、実施にあたっては、地域住民や関係機関と連携しながら地域づくりにも資する川づくりを推進します。

動植物の生息地・生育地の保全については、貴重種を含む多様な動植物を育む瀬・淵やワンド、河岸、河畔林、河口干潟等の定期的なモニタリングを行いながら、生物の生活史を支える環境を確保できるよう良好な自然環境の保全に努めます。

良好な景観の維持・形成については、上流部における田園風景、曽木の滝等の景勝地、薩摩川内市街地における都市景観と調和した河川景観の保全・創出に努めます。

人と河川との豊かなふれあいの確保については、既存の親水施設等を利用したイベントや環境学習等を通じて情報発信を行うとともに、県境を越えた川内川上下流における相互理解を深めつつ、流域住民と一体となった川づくりを目指します。

水質については、河川の利用状況、沿川地域の水利用状況、現状の環境を考慮し、下水道等の関連事業や関係機関との連携・調整、地域住民との連携を図りながら、さらなる水質の向上に努めます。

注)上記については、基本方針の概要を説明したものであり、法定計画となる「河川整備基本方針本文」の文章とは異なる表現となっている部分があります。