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国土形成計画シンポジウム

元気な九州・東アジアの産業を支えるインフラ

●日 時:平成18年7月27日(木)13:30〜16:00
●場 所:大分市・大分東洋ホテル

 矢田俊文・北九州市立大学学長が基調講演、パネルディスカッションでは南北格差や東西格差の是正、港湾・空港・道路網の整備、防災・減災対策、九州圏の広域地方計画などについて熱心に意見交換しました。

【基調講演】矢田俊文氏(北九州市立大学学長)
■九州は太平洋ベルト地帯の西端であると同時に、上海から北京、天津、大連、ソウルを含む「環黄海」経済圏の東端でもある。この2つの経済圏の接合面に九州は位置している。両者が緊密に結び付くようになれば、九州に光が当たることになるだろう。
■九州づくりについては、@成長する東アジアとの交流の強化、A自動車や半導体、農林業や食品工業など牽引産業の振興、B分散配置されている中核都市の機能強化、C多自然居住地域の整備、D学術・教育・文化機能の強化、E景観・史跡・温泉など観光資源の活用、F九州を一体化する交通・通信体系の整備など、7つの課題に整理される。
■北海道の「雪」や沖縄の「海」のように九州を一つにまとめるキャッチフレーズを考え、協力し合って九州を万偏なく回る観光を工夫するような「九州は一つ」の認識を共有すべきだ。 

【パネルディスカッション】
矢田俊文氏(北九州市立大学学長)
■対応の決め手が見つからないのが中山間部の集落消滅の問題。「心臓や脳の発作を起こした、あるいは大きなけがをして出血がひどいといったときに、どうすればよいのか」と地元の人たちの危機感は強い。こうした人たちの安全・安心を考えると、国づくりの計画を中央任せにするのではなく、もっとみんなが声をあげるべきだ。

安藤昭三氏((社)九州経済連合会副会長)
■いずれは韓国、中国に九州を加えた経済圏が世界における自動車産業、あるいはIT産業の相当の部分を占めるようになるだろう。そうなった際に九州には「マザー工場」が置かれることが望ましい。高度な技術は日本に残しておくというか、付加価値の高い製品は日本でつくるということだ。
■九州は二〇〇〇年から既に人口が減っている。そんな状況下で安定した経済活動を維持するには、労働の生産性を上げるしかない。そのためにも高速交通体系と光ファイバーなどの情報通信インフラの整備、この二つはこれからの九州の発展には不可欠だ。

 

熊埜御堂宏實氏(三和酒類椛纒\取締役会長)
■国際的に通用する「ハブ的な港」が九州にあれば、そのハブ港へ向け自転車のスポークのように道路網が整備されていれば、海外への商品出荷は格段にやりやすくなる。
■焼酎アイランドとしての九州は一体化している。「九州は一つ」との視点が広範な分野に広がれば、九州はもっと力を出せるのではないか。

松村紅実子氏(NPO法人おおいたリベイラ理事長) 
■お互いに庶民の生活ぶりを知ることで、もっと理解し合えるのではないか。地域の行事の中にもアジアを意識したイベントが増えた。文化を理解するということは、やがて深いきずなをもたらすことになると思うので、こうした動きを大きく育てていきたい。
■安定した経済の発展は、安心・安全な生活があってこそ初めて可能なのではないか。

小原恒平氏(国土交通省九州地方整備局長)
■九州の場合には道路網の南北格差、東西格差がある。新しい国土形成計画ではハード整備についても従来の量的拡大から質的な向上へと転換されることになっているが、九州の場合には足りない部分がまだ随分ある。
■安全・安心の確保は費用対効果の考え方に馴染まない面があるが、厳しい予算の中で、優先順位も考えてできるだけのことをやっていきたい。九州は台風の常襲地帯でもあり、防災や減災対策に全力をあげて取り組んでいく。

以上、採録掲載紙より抜粋
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