■ 川内川水系かわまちづくり
川内川においては、これまで薩摩川内市向田地区、伊佐市湯之尾地区、えびの市湯田地区でかわまちづくり支援制度に基づく河川環境整備事業を実施してきました。 川内川流域は、上流域から、えびの市のクルソン峡、湧水町の阿波渓谷、伊佐市の東洋のナイアガラと呼ばれる曽木の滝、さつま町の轟の瀬、薩摩川内市の長崎堤防がある広大な河口など、背後のまちの自然・歴史・文化を反映した地域毎に特色あるすばらしい河川景観を有していると共に、鮎やホタルが生息するなど良好な河川環境のほか、温泉地などの魅力的な地域資源が数多く存在しています。そこで、川内川流域では、これらの様々な地域資源・場の特徴を活かすため、豊かな恵みをもたらす川内川を核(軸)とし、“舟”を特色としたかわまちづくり、河川の利用を基本方針とし、地区毎に3つのコンセプトを掲げ、単独地域では成し得ない地域活性化を目指します。 特に、観光面での連携を強化して、かわまちづくりを中心とした、川内川ブランドを確立し、交流人口及び物産販路を拡大し、地域経済の活性化を図ります。 ■ かわまちづくりとは?
各地には、水辺と共に長い歴史を刻んできた地域や川と調和した豊かな文化や観光資源ともなる優れた景観を保つ地域がみられます。
こうした地域の景観、歴史、文化等を活かし、地方公共団体や地域住民との連携のもとで、河川空間とまち空間の融合が図られた良好な空間形成を
目指す取り組みが、「かわまちづくり」です。
川内川流域では、これまでに薩摩川内市の向田地区、伊佐市の湯之尾地区、えびの市の湯田地区が「かわまちづくり支援制度」に登録されています。 それぞれの地域で、住民の皆さんと行政がともに語り合い、より安全で親しみやすい水辺空間の創出と維持に向けた取り組みが行われています。 以下では、川内川で行われたかわまちづくりの取り組みをご紹介致します。 ■ 薩摩川内市向田地区のかわまちづくり
薩摩川内市向田(むこうだ)地区は、川内川流域で最大の都市 薩摩川内市の中心市街地に位置します。 周辺には、川内川本川と支川の隈之城川(くまのじょうがわ)が合流する河川敷が広がっています。 江戸時代には渡唐口」(ととんぐち)と呼ばれる船着き場があり、川内川上下流や他国からの物流の 拠点及び薩摩藩の参勤交代の宿場としても賑わっていました。 現在でも国道3号線沿いの繁華街となっており、「川内川花火大会」や「川内大綱引」・「薩摩川内はんや祭」・「川内レガッタ」等 様々なイベントも行われています。 その一方、公園や広場が少ないため、地区内では、川内川の河川空間をもっと安全かつ有効に利活用していきたいという声がありました。
薩摩川内市は、平成19年3月に策定された薩摩川内市都市計画マスタープランの中で、川内川についてスポーツや各種イベントの活動拠点として 魅力あふれる河川空間の形成を図ることとしており、川内川河川空間を利用した、歴史的風致を生かすまちづくりを進めることとしました。 こうした背景のもと、川内川河川事務所や向田地区の住民代表、鹿児島県、薩摩川内市等の関係者は、かわまちづくりのコンセプトやそのために必要とされる ハード対策・ソフト対策を話し合う場として「向田地区かわまちづくり推進協議会」を設置し、平成21年度から平成22年度にかけて5回に渡り、検討を重ねていきました。 この話し合いの結果を受けて、平成23年3月に向田地区の「かわまちづくり」が国土交通省の九州管内のかわまちづくり計画に登録され、平成23年度以降、堤防強化や 安全な河川使用のための昇降施設の整備、水制工の整備等が行われました。 併せて、向田地区周辺の薩摩川内市街部における川内川堤防の補強工事も行われました。こちらについても、市街部として良好な水辺空間の形成を図るため、向田地区 かわまちづくり推進協議会で検討された計画に基づき、整備後の利活用や景観にも配慮した整備が行われました。 計画段階から住民の皆様等の参加を図ったことにより、住民の皆様の意見を反映しつつ円滑な事業推進が展開され、向田地区にこれまで以上に安全で親しみやすくなった河川空間が誕生しました。 現在でも、さまざまな形で利活用が行われています。
平成25年6月28日、「薩摩川内市街部向田かわまちづくり」が一般社団法人「全日本建設技術協会」の 平成24年度全建賞の受賞対象事業に選ばれました。 全建賞は、「建設技術の活用」や「公共事業の進め方やストックの運用の工夫等」により、特出した成果が得られた事業や施策に贈られるもので、昭和28年に創設された 伝統ある賞です。 向田地区かわまちづくりに取り組まれた、住民の皆様をはじめとする数多く方々の取り組みが高く評価されての受賞となりました。 ■ 伊佐市湯之尾地区のかわまちづくり
伊佐市湯之尾(ゆのお)地区は、川内川にある湯之尾堰周辺の地区です。ドラゴンボートやカヌー、カヤックなどの競技や高水敷を活用したパークゴルフなどが盛んに行われています。 一方で、伊佐市は平成19年7月に伊佐地区合併協議会で作成された新市まちづくり計画に基づき、安全で安心して暮らせる快適な生活空間づくりを図るとともに、災害に強い 安全で安心なまちづくりを進めていくことになりました。 これを受けて、カヌー競技イベントや水辺体験活動とも連携を図り、広い親水スペースや温泉等の地域資源を活かした交流拠点・観光拠点を進め、魅力あるまちづくりを 進めるとともに河川利用上の安全性の向上を図るため「湯之尾地区かわまちづくり」が平成21年度に検討され、平成21年度から平成22年度にかけて、住民代表の方々等も参加した 「湯之尾地区かわまちづくり推進協議会」を複数回開催しました。 その結果、平成23年2月に「湯之尾地区かわまちづくり」が国土交通省の九州管内のかわまちづくり計画に登録され、平成23年度以降に整備が開始されました。 その結果、水草等の処理及び安全な河川利用を兼ねた塵芥荷揚場、階段工等の整備を実施し、河川利用面での安全性の向上につながるハード整備の支援を行いました。
■ えびの市湯田地区のかわまちづくり
川内川の上流域に位置するえびの市湯田(ゆだ)地区の周辺は、川内川に隣接する宮崎県内有数の観光拠点であるコカ・コーラウエスト(株)の グリーンパークえびので年間を通じてスポーツ大会等のイベント開催や、水辺ではカヌー体験会、水生生物調査などで利用されています。さらに 平成25年4月にえびの市観光の情報発信基地「道の駅えびの」がオープンし、交流拠点として重要な役割を担っています。 これを受けて、「湯田地区かわまちづくり」についての検討が平成24年度から始まり、住民代表の方々も参加した「湯田地区かわまちづくり推進協議会」を複数回開催してきました。 その結果、平成25年11月に湯田地区かわまちづくりが国土交通省のかわまちづくり計画に登録されました。
今後は、国土交通省が河川管理用通路、親水護岸の整備や高水敷整正等を行うと共に、えびの市が高水敷周辺の公園整備を行う予定です。これにより、高水敷の 利用及び水辺・水面利用時の安全性と快適性が確保され、周辺施設と連携した観光・交流拠点としての河川利活用を可能とし、地域の活性化を目指します。 ■ 宮之城屋地・虎居地区のかわまちづくり
川内川の中流域に位置するさつま町の宮之城屋地(みやのじょうやち)地区及び虎居(とらい)地区周辺は、さつま町の中心市街地ですが、平成18年の水害で 大きな被害を受けた地域でもあります。その後展開された川内川激特事業により、両地区内に推込分水路や石積み堤防など他にはみられない景観をもつ河川空間が 生まれました。周辺には、景勝地である「轟の瀬」や史跡虎居城、鹿児島県立北薩広域公園、商店街等もあり、河川空間を利用することで、さらなる地域振興を 望む住民の皆様の声を受け、平成25年度に「宮之城屋地・虎居地区かわまちづくり推進協議会」が開催されました。 平成26年2月には、その第1回作業部会も開催され、地区住民の代表の方々の他、九州大学の有識者や川内川河川事務所、鹿児島県やさつま町の関係者など約70名が参加し、 川内川を活かした新しいまちの姿について、自由闊達な意見交換を行いました。作業部会では、多くの場の参加者からさまざまなアイディアが発表され、川内川に対する期待や愛着の大きさを 改めて実感することができました。 今後もこのような協議を重ね、「かわまちづくり支援制度」対象事業になるための準備を進めていきます。 ■ かわまちづくりに関するお問い合わせ窓口
〒895−0075 国土交通省 九州地方整備局 川内川河川事務所 調査課(電話) 0996−22−33359 (FAX) 0996−25−0862メールでのお問い合わせはこちらから |
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