洪水調節とは
梅雨や台風のとき、一度にたくさんの雨が降ると、川を流れる水の量が多くなり、川が氾濫するなど大きな被害となることがあります。洪水調節とは、このような大雨によって急増する水量の一部を一時的にダムに貯め、ダムから放流する量を調節することで、下流への洪水を小さくすることをいいます。これは、緑川ダムの最重要任務です。
ダムによる洪水調節は、下流部の河川改修とともに、治水対策上、最も有効な手段とされています。
ダムによる洪水調節の仕組み
下図の①~④をクリックすると、詳細な情報を表示します。
① 洪水に備える(放流)
ダムの上流で大雨が降り出し、ダムに流れ込む水量(流入量)が増え始めると、それに併せて下流に流す水量(放流量)を徐々に増やしていき、洪水を貯め込む容量を確保します。
ダム操作を開始する時は、通知文やサイレン、掲示板等で事前にお知らせします。
※川の水位は徐々に上昇します。
② 洪水を貯め込む(洪水調節)
ダムへの流入量が500㎥/sを超えると、それより少ない量を下流に流して、一部をダムに貯め込みます。
この、流入量が500㎥/sを超えた時にそれより少ない量を下流に流すことを「洪水調節」といいます。
※川の水位は更に上昇し、越水等の可能性があります。
異常洪水時防災操作(緊急放流)とは
異常な豪雨により、計画よりも大きい量の洪水がダムに流れ込むことがあります。
その際は、ダムにおいても精一杯「② 洪水を貯め込む(洪水調節)」、「③ 計画上の最大放流量」のように洪水を抑える操作を行いますが、いずれダムが満杯になり洪水を制御できなくなる可能性があります。
そのような場合には、放流量を徐々に増加させ、流入量と同じ水量を放流(自然河川の状態)にする「異常洪水時防災操作(緊急放流)」を行います。
このとき、放流量が流入量を超えることはなく、ダムに貯まった水を一気に流す訳ではありません。
事前放流とは
近年頻発する大雨に備えて、利水者等との「治水協定」のもと、洪水調節機能の強化として令和2年度から運用を開始した取り組みです。
各ダムごとに設定された基準雨量(緑川ダムでは12時間で206mm)を超える大雨が予測された際に準備を開始し、大雨が降る前に下流への影響が少ない量の放流を行います。
これにより、一時的にダムの貯水位を下げておくことで、通常の洪水を貯め込む容量に加え、さらに大きく空き容量を確保することができます。
洪水調節を開始した場合の留意点
近年、アウトドアブームの中、河川水辺に親しむ人たちが多くなり事故も多発しています。事故については、平成11年、神奈川県の玄倉川でキャンプ中のグループが避難の呼びかけを無視してキャンプを続けたため、増水した濁流に流されて一度に多く人が犠牲となった大惨事に見られるように、出水時に大きな事故が発生しています。
緑川流域でも河川公園やキャンプ場などが整備され利用者が増加しています。しかしながら周辺には、河川が増水すると浸水してしまう恐れのある河岸や中洲など、出水時に立ち入ってはならない危険な箇所が多く点在しています。緑川ダムでは、
- サイレンの吹鳴や電光表示板で河川利用者や住民に放流開始をお知らせ
- 警報車による流域のパトロール
等を実施して、事故の未然防止に努めています。