 水害を防ぐためのさまざまな知恵や工夫。そして洪水と共生するたくましさを今もとどめる
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■高田輪中（大野川と乙津川にはさまれた一帯）
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高田輪中の人家と石垣（大分市高田）
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大野川本川と乙津川に囲まれた高田地区は輪中を形成し、洪水の常襲地帯でした。そこで、住民たちは、屋敷を石垣で高くし、家の周囲をクネと呼ばれる防水林で取り囲み、洪水の勢いを弱め、家屋の流失を防いでいました。洪水が去ると、上流から運ばれた肥えた土が積もり、豊かな土壌で農業を営みました。このように、「高田輪中」は洪水を受け入れ、川と共存する文化を創り出していったのです。 |
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●高田地区に特有の洪水に関する言葉
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水見…………
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大雨のときに、川や堤防の様子を見に、川岸まで行くこと。
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水じまい……
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米、麦、ミソ等を家の2階や石垣造りの蔵に運び、避難の準備をすること。
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尻ごみ………
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川が増水したときに、堤防のない川岸を越え、水路を逆流してくること。この尻ごみが上流から肥沃な土を運んできていた。 |
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■輪中地帯特有の家のつくり
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洪水をあふれさせることで水害の軽減を図った
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■溢流堤（いつりゅうてい）
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■溢流堤のしくみ（イメージ図）
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| 大きな洪水は防ぐことはできないが、水害で最も恐ろしい鉄砲水の勢いを弱めるために造られた溢流堤（イメージ図）。高田地区の溢流堤は遺構も図面も見つかってはいませんが、江戸時代、肥後領の初代領主であった加藤清正によって造られたと伝えられています。少しでも、洪水の被害を少なくしようとした先人の工夫が生み出した治水施設でしたが、昭和10年代の治水工事によって姿を消しました。 |
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先人の知恵を現代に受け継ぐ
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■乙津川分流堰（溢流堰）
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■分流堰（溢流堤）完成への流れ
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昭和18年、20年と立て続けに起こった大洪水をきっかけに、大野川の治水計画は変更され、洪水を乙津川へ分派する新たな分流堰（溢流堰）の建設が決定しました。建設場所については、河川の大型模型実験第1号とも言える模型実験を行い、純粋に技術的側面からの検討により現在の位置に決定しました。
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昭和4年
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計画高水量を毎秒5000m3とする |
昭和18年
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計画高水量を越える毎秒8800m3を記録する大洪水に見舞われる |
昭和20年
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再び計画高水量を越える毎秒8000m3の大洪水が起こる |
昭和21年
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計画高水量を毎秒7500m3に改訂し、そのうち1500m3を乙津川に分流することとなる |
昭和29年
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東京の荒川で河川の大型模型実験第１号となる模型実験を行う。建設省案として大津留地区（現在の位置）に決まる |
昭和32年
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分流堰（溢流堤）の工事に着手する。 |
昭和37年
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現在の分流堰（溢流堤）が完成する。 |
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石碑が伝える、先人たちの悲願
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 大野川の氾濫を鎮めたいという悲痛なまでの願いがこめられた石碑が、今もなお、大津留堤防上に残っています。（現在の大野川の河口から8.6キロの左岸側に移転されました）
この石碑は、慶応3年、高田村の首藤道英が建立したもの。菩提寺常仏寺の住職「日宣」に相談し、この寺の宗派である法華経に願いを託し、経文の1文字ずつを書き込んだ6万9384個もの石が石碑の下におさめられていました。
出典：ふるさと松岡（大分市立松岡小学校） |
