川辺川ダム事業における環境保全への取り組み
~ 原石山のとりやめについて ~
(生態系に配慮して原石山をとりやめるのは全国初)

-----お知らせ-----

川辺川ダム事業では、昭和51年度より川辺川ダムの湛水予定区域とその周辺区域などにおける動植物の生息・生育環境、水環境等の調査、保全対策の実施並びに検討を継続的に行っています。

この中で、森林の保全については、付替道路に深礎工法を用いるなど、従来から事業による改変面積の縮小について検討・実施してきたところです。

特に、ダム本体コンクリート用骨材の採取予定地である「原石山」については、平成12年6月に「川辺川ダム事業における環境保全への取り組み」等を熊本県知事に提出した際、同年7月同知事より、クマタカの保全については、「クマタカが生息している森林を保全し、生態系への影響を最小限にするため、採石予定地での採石を極力縮小していただきたい。」とのご要望を頂きました。

ご要望に対しては、「予定している原石山の改変面積を極力縮小するよう、当該原石山での骨材の採取を補うための、貯水池内での新たな骨材の採取について調査検討してまいります。」とお答えしていたところです。

川辺川工事事務所では、クマタカが生息している森林の保全と、生態系への影響を最小限にするため、原石山の改変面積を縮小するための技術的検討を進めてまいりました。

その結果、ダム本体コンクリート用骨材は、本体基礎掘削により発生する材料を選別採取することにより大部分が賄えること、不足した場合でも将来貯水池となる箇所から小規模に採取することで対応可能であることが技術的に判断できたため、現在の原石山の掘削をとりやめることにいたします。生態系への影響を最小限にするために原石山をとりやめるのは国土交通省のダム事業では全国初となります。

現在の原石山の掘削をとりやめることについては、平成13年9月に「川辺川ダム周辺猛禽類検討会」及び「川辺川ダム環境保全・創造に関する検討委員会」にご報告した結果、『原石山の掘削をとりやめることは、藤田谷のつがい(クマタカ)の保護の観点から、その方法が最もよい。』との評価を頂いております。

川辺川ダム事業では、今後とも、自然環境に十分配慮したダムづくりを推進してまいります。