観光振興と道路 シンポジウム

"観光振興と道路" シンポジウム

【アメリカ合衆国】

89年スタート、連邦指定98 州指定も多数 知名度の向上で地域への経済効果も
オールドアメリカンロードとナショナルシーニックバイウェイの指定箇所 米国各機関のシーニックバイウェイ指定ルート数

 シーニックバイウェイの発祥地アメリカでは、1965年に沿道景観の保全を目的とした道路美化法を制定し、沿道の屋外商業看板などを規制。1989年に「シーニックバイウェイ法」を制定し、ガイドライン、指定基準、経済効果などの研究を進めてきた。現在は米国連邦道路庁の所管事業として、「シーニックバイウェイ・プログラム」を実践。国・地域・住民・利用者・NPOが一体となって沿道景観・自然環境の保全整備、観光振興を図ることがプログラムの基本となっている。

America's Byways

 シーニックバイウェイのルートは現在98カ所。景観や自然環境の保全、人材育成、体験メニューの創出など、地域住民が主体となってそれぞれのルートを運営しているのが特徴だ。米国連邦政府に申請し、指定を受けた活動団体は、計画や事業に対して国や州から資金的な支援を受けられる。最初のシーニックバイウェイといわれるブルーリッジ・パークウェイ(バージニア州~ノースカロライナ州)の利用者は年間約2200万人。効果は旅行者数の増加や雇用創出など多岐に渡り、地域の誇りを育んでいる。
 ルートの選定にあたっては景観性、歴史性、自然性、文化性、レクリェーション性、考古学性の6つが評価対象となる。そのうち2つ以上が傑出していれば、オールアメリカンロードに、1つ以上が該当すればナショナルシーニックバイウェイに指定される。その他にも州指定のシーニックバイウェイ、地方自治体が独自に指定するシーニックバイウェイが多数ある。

【北海道】

「観光立国北海道」へといち早く活動開始 千歳~ニセコ、旭川~占冠がモデルルート
千歳~ニセコ、旭川~占冠がモデルルート

 日本で初めてシーニックバイウェイに取り組む北海道。その背景にはマイカーやレンタカーを利用したドライブ旅行の増加がある。北海道の旅行目的は、風景、温泉・保養、ドライブが上位。かつての観光名所を急ぎ足で回る旅から、沿道の景色や地域とのふれあいを求めてルートそのものを楽しむ旅へ。その時そこでしか体感できない風景、味、体験、人との出会いなど、地域の個性や魅力が重要な観光資源となっている。
 2003年2月に「北海道におけるシーニックバイウェイ制度導入モデル検討委員会(委員長・石田東生筑波大学教授)」を設立。4月には、北海道有数の観光地である「千歳~支笏湖~洞爺湖~ニセコルート」と「旭川~美瑛~富良野~占冠ルート」をモデルルートに指定した。

シーニックバイウェイ北海道 【日本風景街道】

 両モデルルートの活動主体となる団体は、公募により選出。認定を受けた38の団体が、環境保全、地域づくり、観光振興に取り組んでいる。また観光メニューの開発、イベント、情報発信などで活動団体間や地域間の連携が進み、個性的なルートづくり、美しい景観づくりに向けての意見交換も行っている。
 関係行政機関では、市民団体の協力を得ての景観診断、固定式視線誘導柱(通称・矢羽根)や標識の試行的撤去などに取り組み、地域の沿道景観の向上を後押ししている。
 プロモーション活動も積極的に展開。シーニックバイウェイの認知度アップとブランド化に向けて、公式ホームページやパンフレットを作成し、マスコミの注目を集めた。
 今後もモデルルートによる効果的な制度の検討を重ね、2005年から北海道全土で本格的に展開する予定だ。

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