第2章 河川の整備の実施に関する事項

第1節 河川工事の目的、種類及び施行の場所並びに当該河川工事の施行により設置される河川管理施設の機能の概要

1.洪水時の水位低下対策

河道内の樹木や断面不足により、平成5年洪水において河川の水位が危険水位(計画高水位)を超えている区間がある。また、水位が高くなることにより内水排除にも悪影響を及ぼしている。このため、洪水時の河川の水位を低下させ、整備目標流量(基準地点白滝橋9,500m3/sec)を安全に流下させることを目的に、昭和18年洪水により堤防が壊れた実績がある地区等、表2−1に示す位置において高水敷掘削・樹木伐採などの対策を行う。

実施にあたっては、図2−1に示すように、高水敷掘削においては、ヨシ等の水際に生える植物が生育し、多様な魚介類、底生動物等の生息場・繁殖場となっている水際や、死水域で深さ・底質が変化に富み河道と連続しているワンド等の改変を極力抑えるよう、平水位以上の高水敷掘削を行う。また、掘削にあたっては現存する自然植生の再形成を目指し、管理に支障のない範囲で、その生態に配慮した施工を行う。樹木伐採は、種別の植生分布等を調査し、伐採樹木の選定や伐採時期等を考慮し、治水上必要な最小限の伐採を行う。

なお、樹木伐採及び高水敷掘削に際しては、当該地区において環境調査を行い、その調査結果を基に河川環境保全モニター・河川水辺の国勢調査アドバイザー・リバーカウンセラー等の有識者の意見を聴き、施工中及び施行後においてはモニタリング調査を行う等、自然景観、動植物の生息・生育環境の保全に配慮する。

 

表2−1 洪水時の水位低下対策

河川名

場所

整備内容

大野川

大分市 丸亀地先 左岸6/650〜7/350付近

高水敷掘削・樹木伐採

大分市 宮河内地先 右岸7/500〜8/150付近

高水敷掘削

乙津川

大分市 皆春地先 左岸2/500〜3/400付近

高水敷掘削

大分市 皆春地先 左岸4/200〜4/600付近

高水敷掘削

大分市 森地先 左岸4/500〜5/200付近

樹木伐採

大分市 鶴崎地先 右岸3/700〜4/200付近

樹木伐採

 

図2−1 洪水時の水位低下対策 イメージ図

 

2.内水対策

背後地において宅地化が進んだことにより、近年の出水においては、新興住宅地における床上浸水等内水被害が深刻化している。このような被害の軽減を図ることを目的に、平成5年洪水等において床上浸水等、内水被害が著しい地域において表2−2,表2−3に示した排水機場及び水門などの内水対策施設を整備する。

また、近年の出水において床上浸水被害等が発生している地区のうち、背後地の宅地化・地域開発により流出形態が変化し、水門・樋門等の排水機能が不足している宮谷排水樋門について改築を行い、被害の軽減に努める。

なお、背後地の状況変化により内水対策の必要性が高まった地区や、改築の必要性が高まった水門・樋門等については、その調査・検討を行う。

 

表2−2 排水機場の新設

名称

河川名

内水対象河川

場所

迫川排水機場

大野川

迫川

大分市 迫地先 右岸3k200付近

北鼻川排水機場

乙津川

北鼻川

大分市 毛井地先 左岸8k600付近

鴨園川排水機場

乙津川

鴨園川

大分市 森地先 左岸6k200付近

表2−3 水門の新設

名称

河川名

内水対象河川

場所

大谷水門

大野川

大谷川

大分市 宮河内地先 右岸7k400付近

さらに、内水被害が発生した河川については、建設省大分工事事務所に配備した排水ポンプ車を活用するとともに、大規模な内水被害においては、九州管内に配備された排水ポンプ車を機動的に活用し、円滑かつ迅速な内水氾濫による被害の軽減に努める。

 

3.河床安定化対策

水衝部においては、局所的に河床(川底)の深掘が生じるが、洪水時に深掘が進行すると護岸崩壊や堤防崩壊により甚大な被害を被る危険性がある。このため、特に昭和18年洪水等により堤防が壊れた実績がある表2−4に示す地区においては、護岸や堤防の崩壊を防ぐため、河床安定化対策を行う。

施工にあたっては、河道形態の状況等を調査し、専門家等の意見を踏まえ河床安定のための効果的な工法や位置等を選定するとともに、当該地区において環境調査を行い、その調査結果を基に河川環境保全モニター・河川水辺の国勢調査アドバイザー・リバーカウンセラー等の有識者の意見を聴き、施工中及び施行後においてはモニタリング調査を行う等、自然景観、動植物の生息・生育環境の保全に配慮する。

また、河道形態の状況については、今後も監視・調査を行う。

 

表2−4 河床安定化対策

河川名

場所

大野川

大分市 丸亀地先他 8/200〜8/800付近

 

4.大規模な洪水による氾濫被害の軽減対策

県都大分市を流下する大野川において、整備途上段階における施設能力以上の洪水や基本高水を上回るような洪水等が発生した場合には、大分市の被害は甚大となることが予想される。このため、昭和18年洪水等により堤防が壊れた実績があり、水衝部で局所的な深掘がある等、大規模洪水により大きな被害が予想される表2−5に示した箇所において、堤防の強化を行う。また、越水時の水勢を弱めて周辺地域の被害を軽減するため樹林帯を整備する。

 

表2−5 大規模な洪水による氾濫被害の軽減対策

河川名

場所

整備内容

大野川

大分市 丸亀地先他 左岸7/200〜9/500付近

堤防の強化

大分市 丸亀地先他 左岸7/200〜8/600付近

樹林帯

 

図2−2 大規模な洪水による氾濫被害の軽減対策 イメージ図

 

 

 

 

 

5.河川とのふれあいや体験学習の場等の整備

子供たちが遊び、自然体験の場としての利用に適した安全な水辺であり、地域から利用の要望ある大分市森町地先においては、大分市と一体となって、河川の豊かな自然を利用した河川とのふれあいや体験学習の場等の整備を行う。

他の地区においても、要望があった場合は、その内容について調査・調整のうえ整備を行う。

 

第2節 河川の維持の目的、種類及び施行の場所

大野川は、沿川の背後地の宅地化や地域開発に伴って人口・資産の集積が進行し、都市部における貴重な水と緑のオープンスペースとして多くの人々に親しまれているとともに良好な水質が保持されており、大野川が有する治水・利水・環境機能の果たす役割は益々重要なものとなっている。

このため、河川の維持管理や災害復旧の実施にあたっては、治水・利水・環境の視点から調和のとれた所期の機能を維持することを目的として、環境調査・モニタリング調査・河川水辺の国勢調査結果等を踏まえ、瀬と淵をはじめとする良好な自然環境を保全すること等を考慮し下記の事項を行う。

 

1.河川管理施設の維持管理・災害復旧

河川管理施設の機能を十分に発揮させることを目的として、現有機能の把握・評価を行った上で、機能の低下を防止するための復旧・修繕、機器の更新並びに局所的に堆積した土砂等の撤去を行う。河川管理施設の機能低下及び質的低下の原因としては、洪水等の外力による損壊と経年的な劣化や老朽化によるものがあるが、前者については速やかに復旧・修繕等の対策を、後者については計画的に補修・更新等の対策を行う。

大野川特有の課題である40〜50年前に造られた水門・樋門等の老朽化及び河床深掘についても、河川巡視、点検を実施して状況を把握し、必要に応じた対策を行う。また、洪水・高潮時等において操作を行う必要がある水門・樋門、排水機場等の施設については、的確な操作が実施できるよう操作環境の改善及び操作の自動化・遠隔化を行う。

 

2.樹木等の管理

大野川の河道内の樹木等の管理は、洪水時の流下能力を維持することを目的として、繁茂状況等のモニタリングを行うとともに、周辺河川環境を考慮しながら伐採及び除草等の維持管理を行う。

 

3.河川空間の適切な利用調整・管理

大野川の河川空間は、都市部における貴重な水と緑のオープンスペースとなっていることから、今後地域社会からの河川利用に関する多様なニーズに対しては、利用者間の調整はもとより治水・利水・環境に配慮して適切な管理を行う。>

また、新たな工作物の設置についても、河川整備基本方針及び本計画並びに他の河川利用との整合を図りつつ、治水・利水・環境の視点から支障をきたさない範囲で判断し対処する。

さらに、河川利用を妨げる不法投棄・不法占用・不法係留等を減らすため、河川巡視を強化し必要に応じ市町村や警察と連携し、監督処分を含めて対応を図る。

 

4.砂利採取の調整

大野川の砂利採取については、河床変動状況から判断して河床低下傾向にある区域について、原則的に砂利採取禁止区域を継続して設定し、削減する方向で対処するとともに、将来的には原則禁止を目指す。

しかし、大野川の河口付近等の局所的な堆砂が流下阻害となるところについては、河川環境、河床維持、賦存量を総合的に判断して対処する。

 

5.河川情報の高度化及び提供

近年の出水において内水被害が頻発しているとともに、整備途上段階における施設能力以上の洪水や基本高水を上回るような洪水が発生した場合には壊滅的な被害が予想さ れることから、洪水・高潮等の緊急時に排水ポンプ車の配備等の防災対策を迅速・的確に行う必要がある。また、水門・樋門等の操作を行う人の高齢化に伴う後継者の不足も問題となっている。

このため、台風時や夜間などでも常に河川及び河川管理施設等の状況を監視し、遠隔操作により水門・樋門等の操作を確実に行うことを目的に、平成5年出水等で内水により大きな浸水被害が発生した地域において表2−6に示した光ファイバー網の整備及び CCTV(監視カメラ)、遠隔制御装置などの施設整備を行う。

また、洪水等の情報の提供は、被害を最小限に抑えるための方策として極めて重要である。このため、洪水時等は河川情報システムにより流域内の雨量や河川水位等の河川情報の収集を行い、水防警報を発令する等、関係機関とも連携して水防体制の維持・強化を図り、河川沿川の住民に対して洪水予報等の防災情報を提供する。この際、受け手となる一般住民にとってわかりやすいよう工夫を行うとともに、時空間的な情報の網羅性の向上に努める。

さらに、迅速かつ的確な水防活動が実施できるよう、老朽化が進んだ水門・樋門等の施設や堤防の整備状況等を記載した重要水防区域図の作成や、氾濫区域、防災情報を掲載したハザードマップ等の作成を行い、水防団をはじめ地域住民に対し危険個所を平時から周知するとともに、防災関係機関や地域住民と連携して大規模洪水氾濫を想定した危機管理計画の策定を推進する。

 

表2−6 河川情報の高度化

河川名

場所

整備内容

大野川

大分市 鶴崎地先他 左岸2/900〜14/800付近

光ファイバー網
CCTV
(監視カメラ)
遠隔制御装置等

大分市 志村地先他 右岸2/900〜14/800付近

乙津川

大分市 乙津地先他 左岸2/400〜9/000付近

大分市 西鶴崎地先他 右岸2/400〜9/000付近

 

 

6.水防団との協働

河川整備と相まって、洪水等の被害を最小限に食い止めるためには、地元の水防団等による巡視や、緊急対策として行われる各種水防工法の実施による水防活動が必要不可欠である。また、近年河川周辺への資産の集積に伴い、水防活動の役割は益々重要なものとなっている。

 

7.水量・水質の監視等

適正な河川管理のためには、日常的に雨量・水量・水質の把握を行うとともに、地域への情報提供を行う必要がある。

水量減少時においては、関係機関と連携を図り、白滝橋地点において動植物の生育・生息環境の保全及び、利水や景観に少なくとも必要な流量である17m3/secを、ダムの貯留により下回らないよう制限を行う。また、渇水による影響の軽減を図るため、渇水調整の体制を整備し、情報収集・提供を行う。

現在良好な状態を保っている水質については、大分川流域もあわせ組織されている「大分川・大野川水質汚濁防止連絡協議会」(以下「協議会」)を存続し、生活雑排水対策を引き続き行っていくとともに、水質事故等については、河川巡視や「協議会」との連携により早期発見と適切な対処に努める。

 

第3節 その他河川の整備を総合的に行うために必要な事項

大野川の河川整備をより円滑かつ効果的に推進していくためには、大分県及び大分市はもとより、大野川沿川の地域住民の理解と協力を得ることが必要不可欠である。

このためには、大野川に関する河川情報を地域住民や各種ボランティア団体等へ積極的に提供し、大野川が地域共有の財産であるという認識のもとで河川整備、河川の利活用並びに河川環境に関する地域の意見・要望を十分に把握することが重要である。

そこで、関係機関・地域と一体となった河川整備の推進にあたり、具体的に以下の事項について実践する。

 

1.地域ぐるみの河川管理(みんなで育む大野川)

大野川を常に安全で適切に利用・管理する機運を高め、より良い河川環境を地域ぐるみで積極的に形成することを目的に、河川管理者として収集した情報や河川利用に関する情報等を掲載したポスター、パンフレット、副読本等を作成するとともにインターネット等により幅広くPR活動を行う。

また、一般公募による河川愛護モニターにより、大野川に関する地域の身近な情報を提供してもらうことによって、大野川沿川の地域住民とのコミュニケーションの充実並びに強化を図る。

さらに、大野川の河川清掃やイベント等の地域住民の自主的な活動に対しては、安全で多数の地域住民が参加できるよう、これらの活動に必要となる河川情報を積極的に提供する等の支援を行う。

これらにより、地域住民が大野川に関わる機会を設け、住民参加による河川管理を推進する。

 

2.防災意識の向上(もしもの時の心構え)

大野川の洪水被害を防止・軽減するためには、河川整備と併せ地域住民一人一人の防災意識を高め、洪水時の迅速かつ的確な水防活動及び警戒・避難を行う必要がある。

このため、大分市等と協力して平時から水防活動及び警戒・避難を助けるハザードマップ等の防災情報の提供を積極的に行うとともに、防災教育や防災訓練等を行う。

 

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