国営海の中道海浜公園 ユニバーサルデザイン10年の取組
2006 年(平成18 年)の「高齢者、障がい者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(通称:バリアフリー新法)」の施行を契機に本公園では、すべての方が利用しやすく・楽しめる公園づくりを目指す「ユニバーサルデザイン」の考え方を全国に先駆けて導入し、「日本一のユニバーサルデザインを目指す」というビジョンを掲げ、これを実現させることとしました。
「ユニバーサルデザイン」は、明確な基準が定められるものではありません。海の中道海浜公園の固有性を基調とした独自の「ユニバーサルデザイン」を工夫しなければなりません。
そのために、幅広い視点を有する学識者・有識者から構成される検討委員会を立ち上げ、様々な課題に対してPDCAサイクル(P:Plan、D:Do、C:Check、A:Action)による試行錯誤を重ねながら整備・管理運営を進めてきたところです。
近年では、外国人観光客の増加など、利用者の多様化に応じた取組を進めています。
本書は、ユニバーサルデザインの取組を開始してから10年の節目に際し、①海の中道海浜公園のユニバーサルデザインの取組10 年間の記録を残すとともに、②公園の実務担当者向けに参考となる知見をとりまとめたものです。
UD(ユニバーサルデザイン)5ヶ年アクションプログラムの実施
基本項目 | 中項目 | 実施項目(平成29年度以降の取り組み) | |
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ユニバーサル デザイン の取り組み |
園内施設の魅力向上・機能向上 | 利用者の利便性向上 | ①暑さ対策の実施 ②施設の利便性の向上(ベンチ配置改善) ③施設の利便性の向上(トイレ改善) ④授乳室の確保(施設の利便性向上) |
情報提供の改善・充実 | 園内情報提供サービスの向上 | ⑤ネットワークルートの設定・改善 ⑥サインシステムの再構築による情報提供の改善 ⑦パンフレット等による情報提供の改善 ⑧Webサイトによる情報提供の改善 |
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自然環境・景観資源等を活かした魅力の向上 | ⑨自然・景観資源の魅力向上 | ||
人的資源を活用した利用性の向上 | 行政・市民・民間業者等との連携 | ⑩新たな関係構築 | |
公園スタッフのサポート技術の向上 | ⑪公園スタッフのサポート技術の向上 |
赤字:平成29年度からの3年間で優先的に取り組むべき重点項目
ネットワークルートの設定・改善
おすすめ施設マップ作成により、五感で感じられるコースを設定。無理なく園内の移動が可能となりました。
暑さ対策(日陰の確保)
緑陰(木陰)を確保することにより、全ての方々が必要に応じて気軽に園内各所の木陰で休憩が可能となりました。
施設の利便性向上(ベンチ配置改善)
移動可能なベンチとすることで、イベント等に合わせてベンチの移動配置を適宜実施しています。
施設の利便性向上(トイレ改善・授乳室確保)
多目的トイレのユニバーサルデザイン(点字サイン)を充実させ、授乳室の必要な配置場所を整理し配置しました。
パンフレット等による情報提供の改善
参加型プログラム等・セルフガイド型プログラム
平成29年度の取り組み内容
取り組み1:各機関へのUD取り組みヒアリング
UDにおける課題、対応策の把握、協働の可能性検討のためのヒアリングを実施しました。
取り組み2:園内外案内試行
自家用車での来園者に目的地までの案内を分かりやすくすることを目的とした試行(国道沿いへの仮設看板設置)を実施しました。利用者へのモニタリング調査によって効果を検証しました。