治水対策は、九州でもかなり進んできた川ですが、
下流部の人口増加などで新たな課題も生まれています。
たとえば、こんなコミュニケーションを!
堤防をはじめ、河川の整備が着実に進んでいる大野川ですが、 まだまだ次のような問題を抱えています。
堤防整備率は、96%と進んでいますが、流下能力(洪水を安全に流すための河川の能力=断面積)が不足している箇所があります。
戦後最大の流量を記録した平成5年9月の大雨では、大野川本川及び支川乙津川で危険水位を越えました。この時、昭和18年の洪水で破堤した箇所でも危険水位を超え、非常に危険な状態でした。
内水被害とは大雨により本流の水位が高くなった場合に、従来そこに流れ込んでいた川や水路の水が排水できなくなり、あふれだすことで起こる浸水被害のことです。平成5年、平成9年にみられるように、近年の大雨による被害の多くは床上浸水・床下浸水などの内水氾濫によるものが多くなっています。
大野川では、古くから水門・樋門等の構造物が築造されたため、背後地の状況の変化などにより、現在の機能では支障があるものや、老朽化のため本来の機能に支障が出てくる恐れのあるものもあり、改築等の対策が必要です。また、操作についても、水門・樋門等を操作する人の後継者不足も問題となってきました。
平成5年9月/白滝橋上流地点
通常、川の中の状態は地上から見ることが出来ませんが、大野川では川の底が水の流れにより局所的に掘られ、極端に深い部分が生じています。このような現象は、洪水時には、流速が増すことにより、さらに進行し、堤防が川底から削られていくため、堤防の崩壊を招くなどの危険性を持っています。昭和18年の洪水で破堤した白滝橋上流付近の断面をみると水があたる部分が深く掘られているのがわかります。
近年、地球規模の異常気象といえるような大雨などによる災害が、全国各地で発生しています。堤防の整備をはじめ、河川の整備が着々と進んでいる大野川ですが、一方で流域内の市街化も進んでおり、施設能力を上回る洪水により、ひとたび川が氾濫すると、昔を上回る甚大な被害を受けることが想定されます。