大淀川の主な災害

既往洪水の概要

大淀川流域の年雨量は約2,600㎜程度であり、鰐塚山地や日向山地等は2,900～3,000㎜相当の多雨地域となっています。月別では6月～7月の梅雨期及び8月～9月頃の台風期に集中しており、特に台風が本流域に与える影響は大きく、既往の大出水のほとんどが台風によるものです。

大淀川の主要な洪水は昭和29年9月洪水、昭和57年8月洪水、平成5年8月洪水、平成9年9月洪水、平成16年8月洪水、平成17年9月洪水等です。昭和29年9月洪水や昭和57年8月洪水、平成17年9月洪水等、計画流量の改定の契機となった洪水も経験しています。

大正中期ごろの大淀川の氾濫（旭通り）

昭和29年（1954年）9月10～13日洪水

台風12号の接近により、9月10日より降り始めた雨は12～13日に豪雨となり、総雨量は平野部で250～300㎜、山地部で700～1000㎜となりました。

河川の水位は12日夕刻、各地点共指定水位に到り、13日早朝、各々警戒水位に達するという異常な増水記録を示し、宮崎市高岡町を始めとする中流各地域、及び下流の宮崎市内には13日12時～13時に沿岸住民に対する避難命令が発令されました。

この大洪水によって、浦之名川合流点付近、及び宮崎市高岡町狩野の一部は濁流にのまれ、大丸橋右岸取付道路約20ｍも13日18時頃の流失、下流では高松橋が13日18時頃流失、小戸橋も高松橋の流失橋材の為流失しました。

宮崎県下の被害状況は、死者51人、負傷者62人、行方不明者13人、失全壊家屋614戸、半壊683戸、床上浸水5906戸、床下浸水8228戸でした。（被害数は宮崎県災異史より）

平成9年（1997年）9月12～16日洪水

台風第19号の接近に伴い宮崎県全域が大雨となりました。

大淀川流域では9月14日1時頃より降り出した雨が断続的に降り続き、16日1時頃より雨は強まり、1時間に末吉で27mm、比曽木野で35mm、青井岳で36mm、また、三股では16日2時から3時の間に69mmを最高に大淀川上流域全般で大雨が降りました。また、3時間雨量でも巣之浦137mm、霧島176mm、三股179mmを記録し、総雨量では青井岳515mm、槻木469mm、霧島836mm、三股873mmを記録しました。

この雨により、大淀川全川で警戒水位を突破し、最高水位が岳下で5.31ｍ、高岡で7.08ｍ、柏田で8.22ｍと過去最高の水位を記録しました。
関係市町村の被害は、死者2人、負傷者3人、家屋の全・半壊25戸、床上・床下浸水は985戸に及びました。

平成17年（2005年）9月4～6日洪水

大型で非常に強い台風14号は宮崎県内を暴風雨域に巻き込みながら、九州の西の海上をゆっくりとした速度で通過し、山地部を中心に総雨量が1,000mmを超える記録的な豪雨が発生しました。

県内でも記録的な豪雨をもたらし、連続雨量は青井岳で1,144mm、霧島1,374mmに達するなど、3日間で年間降水量の1/3超を記録しました。
この雨により、基準地点柏田で9.89m、上流樋渡地点で10.65mと計画高水位を上回る観測史上最高水位を記録する等、大規模洪水の発生により大淀川水系の広範囲で洪水氾濫による多くの浸水被害が発生し、大淀川下流部の宮崎市・国富町・綾町等をはじめ、浸水面積3,321ha浸水家屋4,706戸(床上3,834戸、床下872戸)に及ぶ甚大な被害が発生しました。