現在・そしてこれから
大規模土砂災害への備え
大規模土砂災害に備えた危機管理
大規模土砂災害は、「現象が大規模なもの」や、「天然ダムのように災害が進行性のもの」、「対応に高度な技術を要するもの」、「同時多発的に多くの現象が発生するもの」など、その対策にあたっては、国の役割が重要な施策となります。
雲仙砂防管理センターでは、危機管理計画を検討し、大規模土砂災害に対する訓練計画、合同防災訓練の実施、関係機関との協定など、大規模土砂災害に備えた対応を行っています。

「防災訓練の様子」
溶岩ドーム崩壊に備えた検討
雲仙・普賢岳の火山活動は、平成7年の終息宣言以降は落ち着いた状態が継続していますが、平成初期の噴火活動によって、溶岩ドームと呼ばれる巨塊群が平成新山の山頂周辺に不安定に形成されています。
島原半島の地元自治体は、溶岩ドーム崩壊などの災害を懸念し、平成23年2月雲仙・普賢岳火山砂防促進期成同盟会(会長:島原市長)は、「溶岩ドームが崩壊した場合に発生する現象、その影響範囲に関し、学識経験者の意見を反映し、高度な技術力を駆使した検討」を求めた要望を国土交通省に提出しました。雲仙砂防管理センターでは、学識経験者等からなる「雲仙・普賢岳溶岩ドーム崩落に関する危険度評価検討委員会」、「雲仙・普賢岳溶岩ドーム崩落に関する調査・観測及び対策検討委員会」を開催し、溶岩ドームの崩落に備えた調査・観測及び対策について検討を行っていました。
さらに、「雲仙・普賢岳溶岩ドーム崩壊対策構造検討会」や「雲仙・普賢岳溶岩ドームソフト対策検討会」を開催し、より具体的なハード・ソフト対策を検討しています。
■嵩上げ工事概要
■工事着工報告会
想定される溶岩ドーム崩壊による岩屑なだれ
「岩屑なだれ」とは・・・
岩の塊が崩壊し、速い速度で破壊されながら崩れ落ちる現象です。普賢岳では、溶岩ドームの崩壊によって発生する可能があります。岩屑なだれの発生イメージを下図に示します。

岩屑なだれの崩壊ケース
溶岩ドームの現地調査結果やPCを使用した数値解析による溶岩ドームの崩壊シュミレーションによって、5ケース(CASE1〜CASE5)の崩壊パターンが想定されています。
その崩壊パターンの中において、以下のケースについて説明します。
・崩壊発生の可能性が最も高いケース(CASE3)
・最大規模の崩壊が発生するケース(CASE5)
最も発生確率の高い崩壊ケース (CASE.3)

上図にある溶岩ドームの箇所( Case1~Case3 )では、底部の岩石の強度が弱いため、崩壊が最も発生しやすいケースとして考えられています。
また、シュミレーション解析によって、Case1の崩壊発生後にCase3まで連続して発生する可能性が高いため、岩屑なだれへの砂防ダム等の建設による対策は、Case3を対象に行います。
対象土砂量 | 1,792万m3 |
施設整備条件 | 現計画完了時 |
物性値 | 平成3年6月8日に発生した火砕流の岩塊流れの再現計算より設定 |
影響範囲図 | CASE.3(1,253KB) |
発生した場合の最大規模の崩壊ケース (CASE.5)

現在想定されている崩壊パターンのうち最大規模の崩壊は、上図にあるような、「崩壊発生の可能性が最も高いケース」を含み、さらに、噴火前の地山までも同時に崩壊するケースです。
このCASE5の最大規模の崩壊を対象に避難対策を検討しています。
対象土砂量 | 5,376万m3 |
施設整備条件 | 現計画完了時 |
物性値 | 平成3年6月8日に発生した火砕流の岩塊流れの再現計算より設定 |
影響範囲図 | CASE.5(1,243KB) |
数値解析による溶岩ドームの崩壊シュミレーション結果(4,892KB)