耶馬渓ダムの環境保全

貯水池水質保全の必要性

ダムは大量の水を貯水する施設であるため、常に水が流れる河道とは異なり、ダム貯水池内の水の循環が停滞しがちです。
このため、水中の植物プランクトンが、日光の良く当たる貯水池の表層の部分で光合成しやすい状態になって異常増殖し、貯水池の水を汚してしまうことがあります。そこで、貯水池の水を常に洗浄で安全な水質に保たせるために、植物プランクトンの異常増殖を抑制する水質保全対策が必要となります。

水質保全対策と施設整備

水質を保全するための方策として、耶馬渓ダムでは、植物プランクトンそのものを抑制するとともに、プランクトンの増殖環境を改善する水質保全装置を導入し、貯水池内の水の保全を行っています。

1、ダムの貯水池内の水循環を促進させる“曝気循環装置”…2基
2、ダム貯水池深層部に溶存酸素を供給する“深層曝気装置”…1基
3、植物のプランクトンそのものをポンプ加圧により抑制する“貯水池循環装置”…1基

 

噴水による水面叩きとポンプ加圧で、プランクトン増殖を抑制します。

この噴水設備は、植物プランクトンの異常増殖を初期段階で抑え、水質を浄化するためのものです。水を吹き上げる前に、吐き出し管の中でポンプによって圧力を加え、植物プランクトンの細胞を破壊・損傷させ、また吹き上げた水で水面を叩き、植物プランクトンの増殖環境に変化を与えます。また夜間のライトアップによって景観の向上、より親しみやすい環境づくりを目指しています。

  • 貯水池循環装置のあらまし
  • 散水量/610mm/hr(直径50m範囲)
  • 打ち上げ噴水高さ/35m
  • 噴水範囲/50m
  • 台船形状/幅8m×8m(正八角形)
  • 給電方式/AC6600V(水上給電方式)
  • 噴水ポンプ/横軸両吸込渦巻ポンプ、吐出量:20K/min、全揚程:45m、電動機出力:210kw
 

 

空気の泡で、湖内の水を循環させ、湖のよどみをなくします。

湖底に設置した曝気循環装置です。陸上のエアコンプレッサーから送った空気を吐き出し口から出し、周囲の水とともに上昇させます。その水は回転しながら循環し、大きな「循環混合層」をつくります。この水の循環によって表層付近の水のよどみをなくし、湖の表層付近で繁殖するプランクトンの増殖の原因である栄養塩や光の供給を少なくし、増殖を抑制します。

 

空気供給装置(コンプレッサー)のあらまし

  • 空気量/3.6K/min
  • 空気圧/7.0kg
  • モーター出力/22kw
  • 冷却方式/空冷式
  • ローター部潤滑方式/オイルフリー
  • エアドライヤー付
  • 使用条件/通常時は、48時間運転、24時間休止、3台交互(2台運転、1台予備)運転とする

 

 

空気の泡で、湖内の水を循環。水位の変動にも対応します。

水面に設置した曝気循環装置。しくみやはたらきは、2の湖底設置型と同じです。水面に設置しているため、水位の変動にかかわらず、強い効力を発揮できます。2 の湖底設置型と協力して循環混合層を作り、より確実な水質保全を目指します。

 

 

空気の泡で湖内深層部にDO((溶存酸素)を供給します。

上昇管の下端から放出された空気は、湖内深層部の底水を連行しながら上昇します。溶存酸素量の改善された底水は、再び下降管から底層に戻します。底層の好気化、底泥からの栄養塩類の溶出防止に役立ちます。

空気供給装置(コンプレッサー)のあらまし

  • 空気量/3.6K/min
  • 空気圧/7.0kg
  • モーター出力/22kw
  • 冷却方式/空冷式
  • ローター部潤滑方式/オイルフリー
  • エアドライヤー付

 

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