緑川の河口部や浜戸川は堤防が低く、断面も小さいため、高潮に対する安全度が低い地域です。最近では平成11年台風18号の高潮被害、平成16年台風16号、平成17年台風14号で避難勧告が出されるなどしています。このため、緑川・浜戸川の高潮区間においては、「緊急対策特定区間」として当面、平成11年台風18号規模の高潮に対する堤防を整備します。
平常時でも水面と堤防の差が約30cm程度になります。
熊本県を横断した平成11年台風18号により、緑川河口部及び浜戸川では高潮が発生、堤防を越水し浸水被害が発生しました。また地盤が軟弱なため、当面は平成11年台風18号規模(T.P.4.5m)の堤防を整備することとし、その後、バラベット部を除くT.P.6.0mを整備、最終的には伊勢湾台風級の高潮による被害を防御する事を目的にT.P.7.0mの整備を目指します。
大型で非常に強い台風18号は、9月24日未明に天草を通過し、熊本県北部に上陸しました。県内では交通機関が混乱し各地で停電や断水、電話の普通が続き県民デイ活に大きな打撃を与え、農作物にも多大な被害(熊本県内の被害額:1,234億円)が生じました。
特に緑川河口、浜戸川は折しも大潮の満潮と重なり越水し、熊本市川口町、宇土市の新開町、走潟町、馬之瀬町などに浸水被害が発生しました。
緑川・浜戸川の越水による主な被害状況
緑川 | 床上浸水 | 10棟 |
---|---|---|
床下浸水 | 8棟 | |
浸水面積 | 10.5ha | |
浜戸川 | 床上浸水 | 0棟 |
床下浸水 | 20棟 | |
浸水面積 | 9.1ha |
高潮は、台風た強い低気圧によって海岸付近で海面が異常に高くなる現象であり、高潮が発生する主な要因には「吸い上げ効果」と「吹き寄せ効果」の2事象が存在し、それぞれの影響により台風規模や場所によって高潮発生程度が異なります。
吸い上げ効果台風の中心気圧は周辺部より低いため、周辺部の大気は海面を押し付け、中心付近の大気は海面を吸い上げるように働く。この結果、台風の中心付近の海面が上昇する。 |
吹き寄せ効果台風などによる強い風が海岸部に向け長時間吹き続けると、風下の海岸に海水を吹き寄せ、海面が上昇する。 |
近年では、潮位が上昇傾向にあることが認められており、特に有明海はその傾向が顕著です。
緑川の下流域は、有明粘土と呼ばれる軟弱な地盤が広がっています。このため、家屋に近いところで盛土を行えば地盤がその重さで沈下してしまい家屋等に損傷を与えてしまう恐れがあります。このため、盛土を行い家屋等に損害を与える恐れがある場合は沈下対策鋼矢板を打設して被害を防いでいます。
(工事前) |
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(工事後) |
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