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馬場楠堰(菊陽町馬場楠)から連なる井手(導水路)に施したのが「鼻ぐり」と呼ばれる溝穴です。この堰から下流2kmの導水ルート上に岩山が存在したためトンネル状の導水路を通すことにしたものの、そのままでは堀抜いた井手にヨナ(火山灰土)が堆積し導水がままならない。そこで清正は、導水路を堀抜くにあたり適当な間隔(2~3mおき)で流れを遮る壁を残し、水を通す穴を壁の底に左右交互に設けた。こうすることで、壁穴を抜けた水が次の壁にあたる際に内部で渦巻き、ヨナも常に攪拌されて水とともに次の穴へ押し流されていくという当時としては画期的な工法で、これにより95町余が水田化されたといい、今なおその一部は現役の機能を果たしています。
水の勢いを殺して岸を守るために、あるいは水を一時静止させたり大石などを止めたりするために、岸から川の中へ突き出すように築いた石積みの防波堤を「石はね」といいます。亀の頭のような形をしていて、基礎にはしだを敷きつめ、その上に楠か松坂を敷き、その上に石を置いて造ります。清正は治水対策をして多用しており、緑川や浜戸川などでも一部現存しています。
轡塘(くつわども)は清正が多用した洪水軽減方法で、河川の合流地点や水あたりの激しい部分に造られた河道内遊水装置です。通常、河川は枝塘の内側を流れていますが、水かさが増した時には本堤と枝堤内の遊水池が水を蓄え、周辺への出水を抑えました。緑川では、最大規模の桑鶴塘をはじめいくつもの轡塘が築かれました。また、遊水池内には肥沃な土壌が流れ込むため、平常時には生産力の高い水田として利用されました。現在でも轡塘の遊水池では水田として利用されているところもあります。
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