【1】開催日時

平成7年12月2日(土) 15:00~17:20

【2】開催場所

アークホテル熊本(2階、朝顔・椿の間)
熊本市城東町5-16 TEL 096-351-2222

【3】出席委員(敬称略)

  • 熊本大学法学部教授(委員長)江藤  孝
  • 熊本大学理学部教授     岩崎 泰頴
  • 九州共立大学学長      長  智男
  • 九州東海大学農学部教授   戸田 義宏
  • 熊本県立大学総合管理学部長 米沢 和彦
  • 熊本県知事         福島 譲二
  • 人吉市長          福永 浩介
  • 相良村長          高岡 隆盛
  • 五木村長          西村 久徳
  • 熊本県議会議員       高田昭二郎 
  • 相良村議会議長       恒松  新
  • 五木村議会議長        照山 哲榮

【4】報道関係  11社22名

(テレビ)
  • NHK、KAB、KKT、RKK、TKU:計5社
(新 聞)
  • 熊本日日新聞、毎日新聞、読売新聞、朝日新聞、西日本新聞、共同通信:計6社

【5】配付資料

1.議事次第
2.第1回川辺川ダム事業審議委員会議事要旨(案)
3.ダム事業審議委員会現地視察行程表
4.川辺川ダム事業に係る公聴会記録(案)
5.ダム事業審議委員会への申し入れ

【6】議事次第

1.九州地方建設局長挨拶
2.委員長挨拶
3.議事
 [1]これまでの経過報告
 [2]審議
 [3]今後の方針

【7】審議内容

1.第1回委員会議事要旨(案)について

  • 第1回委員会議事要旨(案)へ下記の事項を追加、および字句の修正を行ったうえで、 第1回委員会議事要旨として公開することを全会一致で了承。(委員会終了時に傍聴 記者に配布。)

(議事要旨への追加事項)

  • 天然ダムがあって人工ダムは成立する。
  • 人の代替地のみならず動植物の代替地も考慮すべきである。

2.公聴会について

1)公聴会記録(案)の「公述人が述べた意見の要旨」について [委員長]

  • 述人本人から提出された意見の要旨は、必ずしも要旨になっていないなど、バラツキがあり、委員長の責任で意見の要旨を作成した。
    了承願いたい。 → 全会一致で了承。

2)公聴会記録の公開について

  • 公聴会記録を公開することについては、全会一致で了承。ただし、内容については各委員が(案)を持ち帰り、火曜日(12月5日)まで確認を行う。

(各委員確認後、12月15日記者発表、12月28日まで川辺川工事事務所で閲覧)

3)公聴会実施後の各委員の感想について

  • 「質問等が非常に少なかった」との報道があったが、事前に意見申出書を読んで、公聴会に臨んだ。公述人の公述の内容が意見申出書と同じであったので、それでよしと感じた。
  • 個人的に3度、現地調査を行っている。
  • 公述希望と非公述希望とでは、意見分布が違う。また、流域の意見と遠方からの意見、提出された時期によっても意見の分布が異なっている。
    非公述希望の中には心情的なものや、賛成・反対に分類できない素朴な意見が多い。
  • 傍聴人が意外と少なく、一般の関心の低さが感じられた。
    → 公聴会の周知に対して、委員長から事務局の発言を求められ
    [事務局]公聴会に先立ち、一般を対象に説明会を3回実施。これは、住民のダム問題に関する意識の高揚に役立ったものと思う。公聴会開催の周知についても、流域市町村での公告及び新聞7社での広告など、できる限りの努力をした旨説明。
  • 五木の水没者の意見を、是非聞きたい。どう考えているのか、生の声を聞きたい。
    →(地元委員)そもそも、下流を洪水から守るために始まったダム事業。ダムで栄えた村はない、とよく言われるが、五木ではダムによる新しい村づくりを進めている。そんな中、ダム審で足踏み状態となり、村民は不安の色を隠せない。 4)第2回目の公聴会の開催について ・公聴会を2回実施するにこしたことはないが、賛成・反対意見は、1回の公聴会で出 た意見につきると思われる。論点は出尽くした。
  • 2回目の公聴会を実施せよとの意見もあるが、公聴会が全てではなく、いただいた意見を正確に受け止めることが大事であると考える。現時点においては、2回目の公聴会を実施するかどうかは結論を出さないこととしたい。 5)意見申出書の公開について ・「意見申出書」について、提出者本人に公開することを確認し、本人の了承が得られたものについて、公開することとしたい。ただし、公開の方法等は、川辺川工事事務所で閲覧、年内(12月28日まで)限りの閲覧とする。持ち出しは不可とする。コピーは、事務所内で申請者の負担で可としたい。了承願いたい。
    →全会一致で了承。(12月28日まで川辺川工事事務所で閲覧)

3.一般傍聴について

  • 現時点においては、前回同様不可とする。→全会一致で了承。

4.論点整理について(委員長からの要請で、事務局にも作業依頼)

  • 年内にまとめる。
  • 論点を箇条書きに整理する。
  • 各委員からも文書で論点を整理し、提出していただく。

(委員会当日に口答で出された論点として、以下のようなものがあった。)

[1]治水に関して、1/80確率雨量とそれに基づく流出計算、ダムによる調節量と河道流量との関係が妥当かどうか。ダム以外の別の方法の難易をはっきりする必要があるのではないか。
[2]ダムからの放流が水害の原因となるのか。
 1)市房ダムの放流による災害はあったのかどうか。
 2)川辺川ダムでは大丈夫か。構造や操作方法、市房ダムとの統合管理はできるか。このような観点で整理する必要がある。
[3]農業利水問題に関しては、ダム関連項目とそうでないものに整理する必要がある。ダム関連としては、農業水利の必要水量がダムの貯留水量と整合しているかどうか。代替水源からの供給は可能かどうか。
[4]計画規模以上の異常渇水の際に、ダムの目的である「流水の正常な機能の維持」と利水者間の調整をどう考えているのか。
[5]国営総合土地改良事業の同意取得等の問題は、ダムとの直接的な係わり合いはない。別途、行政不服審査請求等により処理されており、ダム問題からはずすべき。
[6]ダム建設によって、水質の汚濁、泥土等は避けられない。2~3年に1回、排砂できるダムはできないか。
[7]水没による自然環境破壊が考えられ、水没地に隣接して保護帯を設定することなどが必要。
[8]農業利水の問題として、現状のポンプアップは経費がかかる。現況水路は老朽化等により維持が困難。改良するには多大な費用がかかる。国営の土地改良事業のなかに、県営と団体営の土地改良事業が混在しており、農家負担が大きい。この問題は、国の事業への要件緩和等、別の場で議論したい。
[9]一番の問題は、五木の問題。今のままでは、ダムの是非に係わらず五木村は壊滅的。発想の転換と人づくりが重要。五木の活性化のために、若者の夢をどうはぐくむか、どう立て直すかを、是非論点に入れるべき。
[10]ダム建設により、多少の汚濁は発生することは事実。また、ダム湖底部の水が酸欠状態になるのも事実であり、これをどう克服するかが課題。
[11]ダム建設により、どの程度の堆砂を見積もっているのか。
[12]森林保護の問題は論点とすべき。
[13]環境保護帯の話があったが、水没地に隣接した地区は、村民が生活するための要素が一杯つまっている地区であり、そこを国で管理することになると、五木には人がいなくなる。
 五木としては、下流受益者や国などに、産業基盤の育成の補助等をしてもらった方が地域の活性化につながり、定住もできる。
[14]自然との調和という視点では、意見は一致していると思われる。

5.参考人の招致について (各委員から出された論点をもとに委員長がコメント)

  • 建設省はダム計画以来30年近く努力されてきたと思う。しかし、一般に対して、単に30年間何の変化もなく今日に至っていると、受け止められている向きがあり、事業者の方で環境施策等十分に説明される必要がある。
  • 自然に対して害を与えるということを全て「悪」であるとすれば、開発はできないことになる。最終的には哲学の違いとなるであろうが、科学的な論証は必要。事業者だけの説明では不十分であり、別の専門家による意見聴取も必要と考える。
  • 農業利水の法手続きについても、住民意思の確認方法として重要であり、論点として整理したい。
  • 過去、現在、これからの問題に分け、治水や環境、文化財、五木を中心とした今後の活性化の問題などについて、それぞれ専門の意見を聞きたいと思っている。
  • 論点整理、専門家の招致を今後行う。専門家の人選は持ち回りで行う。
    → 全会一致で了承

6.ダム事業審議委員会への申し入れについて

  • 申し入れは事務局で受け取り、委員会に伝える、という形態にしたい。
  • 文書で回答してほしいとの要望に対しては、基本的には文書では回答しない。  委員会で意見をまとめれば、文書になる。委員長単独での回答は避けたい。

7.次回、第3回委員会の日程について

  • 第3回委員会は1月下旬で調整したい。

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