【1】開催日時

平成8年6月30日(日)  14:30~16:30

【2】開催場所

熊本交通センターホテル(3階、大ホール)
熊本市桜町3番10号 TEL 096-354-1111

【3】出席委員(敬称略)

  • 熊本大学法学部教授(委員長)江藤  孝
  • 熊本大学理学部教授     岩崎 泰頴
  • 九州共立大学学長      長  智男
  • 九州東海大学農学部教授   戸田 義宏
  • 熊本県立大学総合管理学部長 米沢 和彦
  • 熊本県知事         福島 譲二
  • 熊本県議会議員       高田昭二郎
  • 相良村長          高岡 隆盛
  • 五木村長          西村 久徳
  • 相良村議会議長       恒松  新
  • 五木村議会議長        照山 哲榮

【4】報道関係  12社25名

(テレビ)
  • NHK、KAB、KKT、RKK、TKU:計5社
(新 聞)
  • 熊本日日新聞、毎日新聞、読売新聞、朝日新聞、西日本新聞、共同通信、人吉新聞:計7社

【5】配布資料

1.議事次第
2.第6回川辺川ダム事業審議委員会議事要旨(案)
3.市民団体等からの申入書等の内容骨子
4.洪水流出過程における損失雨量について
5.総括質問等に対する説明資料
6.国営川辺川土地改良事業計画について

【6】議事次第

1.委員長挨拶
2.議事
 [1]第6回ダム事業審議委員会議事要旨の確認
 [2]利水事業について
 [3]市民団体等からの申入書について
 [4]総括質問等についての説明
 [5]審議
 [6]今後の方針等

【7】審議内容

1.第6回ダム事業審議委員会議事要旨(案)について

  • 原案のまま全会一致で了承。(傍聴記者に配布)

2.報道についての申し入れについて委員長より説明

  • 県政記者クラブより以下の2点について申し入れがあった。
    • ①公開・非公開についての報道の条件に関しては、当記者クラブでは一切確認したことはない。原則公開とされている以上自由な報道を求める。
    • ②委員会終了後の記者会見では、出席した委員全員の出席を申し入れる。
  • 委員会の公開については、第1回委員会の冒頭において、委員長が幹事記者(読売新聞、KKT)を通じて県政記者クラブと委員会との調整を行い、以下のような合意に達した。
    • 熊本県政記者クラブに限って公開する。審議内容によっては委員長判断で非公開もあり得る。
    • 報道にあたっては、発言者の個人名は出さない。どうしても必要があるときは、補足取材をしてコメントを求めるものとする。
    • 傍聴記者は審議を妨げないものとする。例えば、テレビカメラは頭取りのみ可で審議中は撮影しないなど。
    • これは原則であり、進めるうえで問題があれば再考する。

(上記のことについて第1回委員会で全会一致で確認したことを再確認)

  • 記者会見における委員全員の出席の申し入れについては、記者会見は委員長だけで足りると思うが、各委員に特に発言を求めるときは、事前に事務局に申し入れ、委員会終了後に補足取材する。(全会一致で了承)

3.傍聴について

  • 住民団体からの傍聴の申し入れについては、従来どおり現時点では県政記者クラブへの公開にとどめる。(全会一致で了承)
  • 人吉新聞社から提出された、県政記者クラブと同じ取り扱いを求める要望については、県政記者クラブからの要望として、同社を関係報道機関に加える。(全会一致で了承)

4.利水事業について

○九州農政局川辺川農業水利事業所長 飯盛三郎氏 からの説明 

  • 球磨地域の球磨川左岸地区については、市房ダムや清願寺ダムを水源とした土地改良事業が進み、非常に整備されている。球磨川右岸については、高原地区などで一部整備されてはいるが、大部分が未整備の状況である。
  • 事業の目的は、[1]用水改良、[2]畑地かんがい、[3]農地造成、[4]区画整理である。
  • 事業対象地域は、全国平均に比べ農業依存度が高く、また農業生産を振興すべき地域となっているが、戸当たりの耕地が少なく、経営耕地が分散しており、用水施設に恵まれていないため、農業経営の近代化が阻害されている。
  • これら要因を取り除くには、用水の確保、農地造成による面積増反を行い、土地生産性、労働生産性の向上と農業経営の安定を図ることが必要である。
  • 球磨地域で農地整備の済んだ球磨川左岸と未整備の右岸を比較すると、

    [1]経営規模では、専業農家が左岸35%に対し右岸17%と非常に大きな差がでている
    [2]農地流動化では、左岸43%に対し、右岸20%で農地の貸し借りに差があり、また未整備では借り手が少ないことがわかる
    [3]農業所得では、戸当たり左岸約270万円に対し、右岸約130万円で2倍の差がでている

    など農地の基盤整備をしたところは、大変によい結果が出ている。
  • 事業の経過は、平成6年11月変更計画決定の公告・縦覧を行い、そして異議申立てがあった。その後口頭審理のうえで平成8年3月29日に農林水産大臣による異議申立の棄却または却下があり平成8年4月4日に変更事業計画が確定した。
  • 事業進捗については、支線道路、農地造成、区画整理は終了しており、残りは用水路の工事のみである。
  • 営農計画については、県及び各市町村が策定の「農業振興計画」を踏まえて、現地の農業改良普及所等の地元機関と協議して策定している。
  • 川辺川ダム依存量は、ダム依存量47,300千m3、ダム容量21,000千m3であり、10年に1回程度発生する干ばつに対応できるように計画している。
  • ダム以外の水源確保方法は、貯水池方式、地下水方式が考えられるが、

    [1]貯水池方式にすると、ダム容量分を受益地周辺または受益地内に設けた場合膨大な事業費になる
    [2]地下水方式は、多量の地下水が期待できないことや揚水ポンプの維持費が非常にかさむ

    等により、川辺川ダムに依存する方法が最適である。菊池台地でも、井戸水で菊池米をつくっていたが、維持管理や地下水低下の問題がでて、建設省施工の竜門ダムから水源依存することになった事例もある。

○利水についての質疑等

  • 10年に1度程度発生する干ばつ以上の干ばつがきた場合には、水を使っている人たちで使う水量を調整する。平成6年の渇水でも筑後川下流地区や菊池川では、利水者間で渇水調整会議を開いて調整している。このように事業に参加しているために干ばつ時も調整しながら水を使えるということである。
  • ファームポンドの目的は、通水時間とかんがい時間の差8時間分を貯めておくもので通常も必要であり、貯水池としての役目はない。
  • 高齢化、後継者不足による農業形態の変化等に対して今後どのように農業をもっていくかについては、集落ごと、地域ごとで担い手をどう育てていくのかを含め、営農形態について話し合いを行い、合意形成を図ることが大切である。そのためにも、営農の基礎となる基盤整備が大事になる。
  • 川辺川ダムへの依存量は、計画変更ではやや減っているが、さほど大きな変更はない。
  • 棄却及び却下により事業変更計画は確定している。水を十数年間も待っている人もおり十分地元の人に説明し理解を得ながら事業を進めていきたい。

5.市民団体等からの申し入れ骨子について

  • 市民団体等からの要望等を踏まえて委員会で審議あるいは確認するための資料であり、市民団体への回答書を作成するという趣旨ではない。
  • 配付資料は未定稿であり、これまでどのような問題が提起されたかを整理して列記したものである。各項目について、これまでの経過を踏まえるとだいたい以下のとおりである。(全会一致で了承)
     [1]公開については、県政記者クラブに公開、議事要旨等は閲覧に供している。
     [2]期間については、あらかじめ設定していない。
     [3]日程調整については、事前に報道機関に文書で通知している。
     [4]専門委員会については、本委員会において、参考人招致、委員からの専門的立場からの説明、事業者からの説明等で専門委員会に匹敵する検討を行っている。
     [5]委員会資料については、全て閲覧に供するという形で公開している。
     [6]公聴会については、現時点では各地域、年齢、職業の様々な意見が人吉で実施した公聴会で示されたと理解している。
     [7]審議内容、方法等細かい点については、様々な審議の中で検討している。
     [8]委員会に対する質問事項については、委員会の審議対象ではない。
  • これらを次回までに文書にして、整理しておく。

6.総括質問等に対する説明資料により説明(治水関係分)

  [1]治水対策については、複数の対策を組み合わせて総合的に検討すべきであるとの指摘について
 [2]球磨川の基本高水流量の決定方法の妥当性について
 [3]洪水調整を行うためのダム操作について
 [4]計画規模を超える洪水の発生に対して、どのようにするかについて
 [5]2日雨量では平成7年洪水の方が大きいのに、洪水流量は昭和40年洪水が大きい理由について
 [6]人工ダム建設前に緑のダムが必要であり、保護林の設定が必要との指摘について
 [7]大洪水等から五木村を守る災害対策としてのダムによる水調整と森林の強化対策事業を含む山の崩壊対策について

○総括質問等に対する説明についての質疑等

  • グリーンコリドー計画は、非常に意義があり一歩前進であると思われる。しかし、土砂流出防止機能、水源涵養機能、自然環境を考えれば、関係機関と密接な連携をとるなどして保護林の幅を広くする努力が必要である。
  • 市房ダムで水害が助長されたことはなく、洪水調節により効果が現れている。
  • 川辺川ダムの操作は、川辺川だけの流況により操作するのでなく、市房ダム放流後の球磨川の流況をみながら操作を行う。それにより市房ダムと連携した管理ができる。ちなみに、市房ダムの操作規則は昭和35年当時最高の水準で決められており、現在でも妥当な操作規則である。

7.今後の進め方

  • 次回は、「総括質問等に対する説明」の残り及び市民団体等からの申入書の内容骨子について審議あるいは確認を行う。また、これまでどういった審議をしてきたかについて整理する。(全会一致で了承)
  • 下津先生からの意見の補足資料については、参考資料として利用する。(全会一致で了承)
  • 次回は、なるべく早く実施する。日程については、後ほど調整する。(全会一致で了承)

8.ダム事業審議委員会への申し入れについて

(第6回委員会以降、当日までに事務局に届いた申入書)
1)「川辺川ダム計画にもとずく農業用用排水事業について(要求書)」
  (申入者)・国営川辺川土地改良事業変更計画取消を求める訴訟団と支援する会
2)「灌漑問題の審議を求める要望書」
 (申入者)・清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会
       ・ダム問題を考える市民の会
       ・球磨川から全てのダムを無くす会
       ・孫子に残そう清流球磨川じいちゃん・ばあちゃんの会
       ・川辺川利水を考える会
       ・多良木町北部利水を見直す会
       ・人吉の農業を考える農家と市民の会
3)「既提出の申入書・要望書の回答を求める申入書」
   (申入者)・清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会
         ・ダム問題を考える市民の会
         ・球磨川から全てのダムを無くす会
         ・孫子に残そう清流球磨川じいちゃん・ばあちゃんの会
4)「再々々度八代市で公聴会開催を求める申し入れ」
   (申入者)・八代市内有志連署
5)「八代市で公聴会開催を求める申し入れ」
   (申入者)・八代市内有志連署
6)「これまで提出しました『申し入れ書』『要望書』『資料』等の真摯な審議を求める要望書」
   (申入者)・清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会
         ・ダム問題を考える市民の会
         ・球磨川から全てのダムを無くす会
         ・孫子に残そう清流球磨川じいちゃん・ばあちゃんの会

     

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