【1】開催日時

平成8年3月24日(日)  13:00~15:30

【2】開催場所

チサンホテル熊本(2階、あその間)
熊本市辛島町4-39  TEL 096-322-3911

【3】出席委員(敬称略)

  • 熊本大学法学部教授(委員長)江藤  孝
  • 熊本大学理学部教授     岩崎 泰頴
  • 九州共立大学学長      長  智男
  • 九州東海大学農学部教授   戸田 義宏
  • 熊本県立大学総合管理学部長 米沢 和彦
  • 熊本県知事         福島 譲二
  • 熊本県議会議員       高田昭二郎
  • 人吉市長          福永 浩介
  • 相良村長          高岡 隆盛
  • 五木村長          西村 久徳
  • 相良村議会議長       恒松  新
  • 五木村議会議長        照山 哲榮

【4】報道関係  10社22名

(テレビ)
  • NHK、KAB、KKT、RKK、TKU:計5社
(新 聞)
  • 熊本日日新聞、毎日新聞、読売新聞、朝日新聞、西日本新聞:計5社

【5】配布資料

1.議事次第
2.第3回川辺川ダム事業審議委員会議事要旨(案)
3.五木村民の方々からの意見聴取記録(案)
4.川辺川ダム事業にかかわる論点
5.第4回川辺川ダム事業審議委員会に出席の参考人プロフィール
6.ダム事業審議委員会への申し入れ
7.球磨川の治水計画・川辺川ダム計画について
8.球磨川洪水氾濫危険区域図

【6】議事次第

1.委員長挨拶
2.議事
 ① 第3回ダム事業審議委員会議事要旨の確認
 ② 五木村民の方々からの意見聴取結果報告
 ③ 参考人からの意見聴取
 ④ 審議
 ⑤ 今後の方針等

【7】審議内容

1.第3回委員会議事要旨(案)について

・原案のまま全会一致で了承。(委員会終了後に傍聴記者に配布。)

2.五木村民の方々からの意見聴取記録(案)について

・原案のまま全会一致で了承。(委員会終了後に傍聴記者に配布。)

3.参考人からの意見聴取について

1)参考人からの意見聴取に先立ち、市民団体からの傍聴希望に対する審議 ・参考人からの意見聴取に関しても、従来どおり熊本県政記者クラブ13社への公開とすることを全会一致で了承。
2)熊本大学工学部教授 下津昌司 氏からの意見聴取 ・雨が降ってそれが流出する現象は、雨の特性、流域の特性などによって規定される。雨の降り方は、時間的分布と流域の空間的分布の両方が複合して流域に降ってくる。また、流域は、地形・地質・地表の乾燥状態・植生により一様ではない。

  • このために流出現象の過程は、「非線型性」であり、雨の量に比例していないので流出現象(特に短期流出)を複雑にしている。これが自然の姿である。
  • この流出現象を、如何に人間がコントロールしていくかが治水であり、治水の方式には疎通方式と貯留方式がある。日本の場合この両方の方式をうまく使っていかざるを得ない。
  • 火山噴出物で覆われた流域とそうでない流域では流出の面で大変顕著な違いがある。火山噴出物で覆われた流域では相当量の流量を貯留してそれをならすという特性があり、そうでない流域はこの特性が非常に少なく、人間がコントロールする必要があり、地質的には比較的ダムを造るのに適している。
  • 球磨川の場合には、流域の地形的・地質的にみて現在の治水技術の中ではダムを造るのは妥当な考え方と思う。
  • 予測技術がかなり進歩してきており、気象庁では1日の中での時間降雨予測が実用化されてきている。そういう予測技術と、それに対するシステムが相まって治水の精度がさらに良くなっていくだろうと理解している。
  • 球磨川については、治水技術、ダム計画の考え方は基本的に間違ってない。それをいかに精度を高くしてやっていくかが一つの課題。
  • 頻度の高い水害(中小洪水)に対しては、やはり安全度が増大している。特に大河川については、最近、災害の頻度が減少してきており、皆さんの災害に対する意識が次第に薄れつつある。

3)毎日新聞社福岡総局・学芸課記者 福岡 賢正 氏からの意見聴取 ・川辺川ダムの洪水調節計画が妥当であるための条件は、設計されている基本高水流量が妥当であること、ダムによる流量調節が他に考えられる幾多の方法のうちで最も有効な方法であることの2つを満たすことである。

  • 基本高水流量が妥当であるという条件を満たすためには、A、公表されているデータが信頼できる。B、データの処理方法が適切である。C、計画立案後の流域の状況変化にも対応しているの3つの条件を満たすことである。
  • Aの公表されているデータが信頼できるというのが最も基本的な条件であるが、過去の流量資料を調べてみるとまちがっており、公表データの信憑性に疑問がある。
  • 計画策定後30年間に計画雨量を超える大雨が2度降っており、確率計算の見直しが必要ではないか。
  • Bのデータの処理方法が適切であるかどうかについては、単位図の計算式とデータが公表されていないので検証できないが、昭和40年7月パターンを採用した理論的根拠がない。この洪水は極めて急激な出水であり、地域分布の型を想定して求めたピーク流量の最大値を基本高水流量に設定しているため1/80の洪水とは言えないような過大の数値となっている。本来1/80の洪水の流量を求めるのであれば、降雨波形、時間推移パターン、地域分布の特性等について確率評価を行った上で計算すべきと思う。
  • Cの流域の状況変化に対応しているかについては、山林の林齢構成の変化により、単位図法の基底長や流出率が変化している可能性があるが、データが公表されていないために検証できない。
  • ダムによる流量調節が最も適切な方法であるかについては、ダムは計画以上の超過洪水になれば、流量調節不能に陥る可能性がある。流入量を全量放流するような事態になると、被害は非常に甚大になり、ダムがなかった場合より被害はむしろ増える。
  • 耕作放棄地・公共用地の地下等の遊水地化や山林管理等による総合治水対策をやった上でダムは最後の手段。貯留方式をやるにしても川辺川ダムという巨大なダム1カ所で全部それを押さえようとする方法に無理がある。
  • 球磨川の治水対策は、八代市の防御が第一で荒瀬ダム下流から放水路で海に抜くのが最も有効である。放水路ののみ口より上流部は、家屋のかさ上げなどをやれば良いのではないか。

4.治水・ダム計画についての質疑

  • 現状のままでは治水対策として異常事態における洪水を防ぐには不十分であるという認識では、今の話は全部一致しており、何らかの貯水方式(治水方式?)をとらざるを得ない。その場合、ダム、放水路、高床式住宅などが考えられる。
  • 森林による貯水効果は、ある時点までは効果があるがそれ以上は頭打ちになり限界がある。
  • 堆砂は湖じりの方から始まるというのは事実であろうから、貯水池の堆砂をどう維持管理するかが問題となる。
  • 計画には確率が伴う。一般的に「ダムを造れば洪水がなくなる」は誤解を受けている。例えば、1/80の雨で計算されているが、これ以上の洪水の場合、調節機能がなくなるのではないか、そんなものは必要ないんだという議論に直結している場合が非常に多い。渇水も同様である。
  • 計画を超えた洪水が起こるということは、当然覚悟しておかなければならない。その時どういう対応をとるかということは、別途の問題として別に提示しておくことも必要。
  • 従来は、機能の限界にあまり触れずに説明がなされているので、この点を知らせて、もう一度流域の人たちが考え直すことは非常に重要である。
  • 球磨川で平地型の貯留方式を採るというのは非常に困難なことである。
  • 治水上の問題としてどうしてもダムをつくる必要があれば、ぜひ保護林をつくっていただきたい。

5.今後の方針等

  • 申入書については、今日の時点で2つきている。以前に送ったのと一括して読んでいただき問題点等は把握していただきたい。取扱いは従来どおりとする。

(全会一致で了承)

  • 4月に委員会を予定したい。日程についての調整は後ほど行う。それから、参考人についても電話連絡等々でお諮りする。(全会一致で了承)

6.ダム事業審議委員会への申し入れについて

(第3回委員会以降、当日までに事務局に届いた申入書)
 1)「五木村住民の声を十分審議に反映させるための申し入れ書」
    (申入者)・清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会
        ・ダム問題を考える市民の会
        ・球磨川から全てのダムを無くす会
        ・子孫に残そう清流球磨川じいちゃん・ばあちゃんの会
 2)「審議委員会への申入書」
    (申入者)・清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会
        ・ダム問題を考える市民の会
        ・球磨川から全てのダムを無くす会
        ・子孫に残そう清流球磨川じいちゃん・ばあちゃんの会
 3)「大学教授の警告を尊重しよう」
    (申入者)・清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会
 4)「川辺川ダム事業審議会への要望書・資料」 
    (申入者)・清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会
        ・ダム問題を考える市民の会
        ・球磨川から全てのダムを無くす会
        ・子孫に残そう清流球磨川じいちゃん・ばあちゃんの会

 

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