外国や他の地域から入ってきた生き物（外来種）たち

（松浦川周辺の生態系への影響が心配される種）

他の場所にすんでいた生き物は川に放さないようにしましょう。

外来種について: 人が放したり、知らないうちに外に出てしまったりして、外国や他の地域からやってきて松浦川周辺に広がってしまった生き物です。ここに掲載した生き物は、現在では国や県の決まり（法律や条例）で、野外に放したり育てたりすることが禁止又は規制されています。

魚類

オオクチバス

（スズキ目、サンフィッシュ科）

元々いた場所: 北アメリカ
松浦川周辺に広がった原因: 1925年に芦ノ湖に持ち込まれた後、全国に放流が繰り返された。
大きさ: 300～500mm
分布・生活場所: 全国各地。湖沼や河川下流域の淀みなどの止水域。
生態等: 5～7月に沿岸の水深0.3～1.5m位の砂礫底等で産卵。
松浦川での確認状況: 平成13年の調査以降、確認。
見分けるポイント: 口が大きくあごの後端は眼よりも後ろまで達する。腹びれが胸びれの真下につく。尾びれ後縁がわずかに切れ込む。

通称として、ブラックバスとも呼ばれる。肉食性で、魚類やエビ類、カエルなども食べる為、在来の生態系への影響が懸念されている。

ブルーギル

（スズキ目、サンフィッシュ科）

元々いた場所: 北アメリカ
松浦川周辺に広がった原因: 日本に1960年に持ち込まれた後、全国に持ち出された。
大きさ: 250mm
分布・生活場所: 全国各地。湖沼や河川下流域の淀みなどの止水域。
生態等: 6～7月に沿岸の砂泥底で産卵。
松浦川での確認状況: 平成8年の調査以降、厳木ダムでは平成11年の調査で確認。
見分けるポイント: 体側に7～10本ほどの暗色横帯が入る。えらぶたの後端に青みがかった暗色の丸い突出部がある。

肉食性で、エビ類などを食べる他、他の魚類の魚卵や仔稚魚も食べる為、在来の生態系への影響が懸念されている。

植物

ナガエツルノゲイトウ

（ヒユ科）

元々いた場所: 南アメリカ
松浦川周辺に広がった原因: 観賞用の水草として輸入されたものが屋外で拡散。
分布・生活場所: 本州以南～沖縄。池沼、水路、湿った畑地など。
生態等: 水中から水の上に伸びる抽水植物。一年生～多年生。乾燥に耐えて陸上でも生育可。開花期は４～10月。白色の花が咲く。茎の切れはしにより極めて旺盛に繁殖。
松浦川での確認状況: 平成16年の調査以降、確認。
見分けるポイント: 高さ0.5～1.0m以上で、茎は太さ4mmほどで中空。葉は対生で、わずかに細かい毛のような鋸歯がある。

水面をふさぐように広がることから、在来の植物の生育等、生態系への影響が懸念される。また、水の流れを停滞させたりする。

アレチウリ

（ウリ科）

元々いた場所: 北アメリカ
松浦川周辺に広がった原因: 1952年頃から、輸入大豆に混入していた種子が拡散。
分布・生活場所: 本州以南の日本各地。河原などの明るい場所。
生態等: 陸生の一年草。他物に巻き付くつるで長さ数～十数ｍになる。開花期は8～10月。休眠性のある種子を多数つけ、種子表面の棘で動物に付着して運ばれる。根が残ると再生する。
松浦川での確認状況: 平成16年の調査以降、確認。
見分けるポイント: つるは粗い毛が密生。葉は10～20cmで縁に鋸歯。両面が著しくざらつく。花は直径1cm程で黄白色。果実は長さ1cm程の楕円形で鋭い棘が密生。

河原や林縁で大繁茂し、在来植物を駆逐。畑では農業被害が発生。

オオフサモ

（アリノトウグサ科）

元々いた場所: 南アメリカのアマゾン川
松浦川周辺に広がった原因: 1920年頃に導入され、観賞目的等で各地に拡散。
分布・生活場所: 全国。特に筑後川水系に多い。湖沼や池、水路など。
生態等: 水中から水の上に伸びる抽水性の多年草。開花期は6月頃。日本では雌株のみで、ばらばらになった茎から葉や根を出して再生。
松浦川での確認状況: 平成22年の調査以降、確認。
見分けるポイント: 水面上の葉は羽状で複数が茎の周りに生える。長さ1.5～5cm。雌花は水面上の葉の脇に１個ずつ着き、高さ約2mmの円筒状、柱頭の白毛が目立つ。

水路や湖沼で大繁茂し、水路の水流を妨げたり、在来植物と競争し、駆逐する。

オオカワヂシャ

（ゴマノハグサ科）

元々いた場所: ヨーロッパ～アジア北部
松浦川周辺に広がった原因: 1867年の神奈川県での記録が国内最初。意図せず拡散。
分布・生活場所: 関東・中部地方で分布を急拡大。水辺、水田、湿地。
生態等: 越年草～多年草。開花期は4～9月。種子は風、雨、動物などによって運ばれる他、地下茎から出した芽や根でも繁殖。
松浦川での確認状況: 最近の調査で新たに確認。
見分けるポイント: 茎の上方に直径5mm程の淡紫色～白色の花を多数つける。花弁は4枚。茎は地中を横走する根茎から立ち上がり高さ0.3～1m。葉は対生し、長楕円形で長さ3～7cm、幅1～2cm、先は短く尖る。

在来種で希少種であるカワヂシャと競合、駆逐するほか、交雑して雑種が生じ、遺伝的撹乱のおそれがある。

オオキンケイギク

（キク科）

元々いた場所: 北アメリカ
松浦川周辺に広がった原因: 1880年代に鑑賞目的で国内に導入され、野外で拡散。
分布・生活場所: 全国。河川敷など、日当たりの良い場所。
生態等: 陸生の多年草。開花期は5～7月。痩果をつけ、側面に薄い翼で風にのって拡散。
松浦川での確認状況: 平成11年の調査以降、厳木ダムでは平成9年の調査以降確認。
見分けるポイント: 小さな花(舌状花と筒状花)が多数集まった頭状花を形成する。黄燈色で、直径5～7cm。茎は高さ30～70cmで根元付近から多数生える。葉は狭倒針形。両面とも粗い毛がある。

河原で繁茂し、河原特有のカワラサイコやカワラナデシコなどの在来種と競争し、駆逐する事例が国内で見られている。

哺乳類

アライグマ

（ネコ(食肉)目、アライグマ科）

元々いた場所: 北アメリカ
松浦川周辺に広がった原因: ペットの逃亡や遺棄により分布が拡大
大きさ: 頭から尻まで42～60cm、尾は20～41cm、体重6～10kg。
分布・生活場所: 全国。水辺近くの森林。都市近郊にも適応。
生態等: 小動物や果実等を食する雑食性。早春に3～6頭を生む。
松浦川での確認状況: 最近の調査でも確認。
見分けるポイント: 体毛は灰白色で目の周囲にはっきりした黒いマスク模様がある。少しとがった耳をしている。尾には茶色と黒の横縞が交互にある。つま先から足の裏全体を付けて歩き、5本指の足跡がつく。

雑食性の上に繁殖力が強く、在来種の生息を脅かしている他、農作物に被害が生じている。唐津市では、被害を防ぐ為の捕獲を行っている。

爬虫類

ミシシッピアカミミガメ

（カメ目、ヌマガメ科）

元々いた場所: アメリカ合衆国南部からメキシコ北東部
松浦川周辺に広がった原因: 1950年代からペット用に輸入されたものの遺棄。
大きさ: 23～28cm
分布・生活場所: 全国。水生植物が繁茂する穏やかな流れを好む。
生態等: 4月から7月に地面の巣穴に2～25個を産卵。日光浴を好む。藻類や水草、水生昆虫、魚介類等を採食する雑食性。
松浦川での確認状況: 平成5年の調査以前から生息。厳木ダムでは平成8年の調査で確認。
見分けるポイント: 甲羅はゆるやかなドーム状で、頭部の両側に橙赤色の斑紋が目立つ。雄はしばしば黒化し、全身がまっ黒になる。

在来の淡水カメ類が卵の捕食にさらされる他、食物等が競合する。食物となる様々な水生動植物が影響を受け、生態系に影響が及ぶ。

両生類

ウシガエル

（無尾目、アカガエル科）

元々いた場所: 北アメリカ東部
松浦川周辺に広がった原因: 1919年頃に食用として持ち込まれ、各地で自然繁殖。
大きさ: 鼻先から尻までが11～18cm。幼生(オタマジャクシ)で12cm。
分布・生活場所: 全国。湖沼や河川の緩流域など。
生態等: 主に水中で暮らし、昆虫やネズミ等、水辺の小動物ならなんでも食べる。5月～9月上旬に大きな池等で産卵する。オタマジャクシのまま越冬し、翌年の5～10月に変態し、体長約4cmの子ガエルになる。
松浦川での確認状況: 平成5年の調査以前から生息。厳木ダムでは平成8年の調査で確認。
見分けるポイント: 雄の鼓膜は目の直径の1.5倍ほど。雄の喉は黄色。背、腹の不規則な褐色斑や太もも下面の黒斑の目立つものが多い。