アザメ新聞 Vol.05(H14.07.04)

アザメ新聞は相知町佐里下地区で行われている自然再生事業の進展をお伝えする新聞です。
この事業は住民参加の事業でどなたでも検討会に参加できます。


Vol.4では第5回検討会の結果と今後の環境調査の考え方をお伝えしました。
さて、Vol.5では6月22日・23日で行われた応用生態工学研究会主催の自然再生事業シンポジウムの模様を紹介します。
第6回検討会は7月16日19時30分から相知町商工会館にて考えておりますので、多数の参加をよろしくお願いします。

自然再生事業シンポジウム開催!

2002年3月末に「新・生物多様性国家戦略」が閣議決定されました。国家戦略は、自然と共生するためのトータルプラン(総合計画)としての理念や長期的 方針を示すものです。戦略の方向性として「保全の強化」「持続的促進」「自然再生」が掲げられています。

ここで掲げられている自然再生は「科学的認識」 「統合的アプローチ」「知識の共有、参加」「連携、協同」に基づいて実施される生物多様性保全に寄与する自然の修復や再生ということだそうです。
この考え に日本国内、世界をみても一番当てはまる事例がアザメの瀬自然再生事業だということで、佐賀県唐津市文化体育館でシンポジウムが開催されました。

シンポジウムでは、実際に自然再生事業が進められている現場で、自然再生の理念や実際の進め方、そこでの応用生態工学の役割などを話されました。

アザメ新聞やパンフレットでPRしました。

会場には、自然再生事業に興味のあるたくさんの方々が来られ、活発な意見が飛び交いました。
このようなシンポジウムで取り上げられたアザメの瀬自然再生事業を担当している編集員一同、身の引き締まる思いでした。

左の写真は各個別のお話のあとに、会場を交えた討論会時の写真です。
各個人のお話の内容は、以下のとおりでした。

島谷幸宏(国土交通省武雄工事事務所長)

  • アザメの瀬での自然再生の意義
  • 生物のすみか(ハビタット)について
  • 氾濫原の再生(湿地的機能の再生)
  • 外来種対策、維持管理体制、若年層の参加など

鷲谷いづみ(東京大学農学部教授)

  • 絶滅危惧種について
  • 生物多様性条約~森林・ウェットランドの喪失を防ぐ目的~
  • 新・生物多様性国家戦略

中村太士(北海道大学農学部教授)

  • 洪水攪乱
  • 自然復元の難しさ 

芝山秀次郎(佐賀大学農学部教授)

  • 台地の生態系
  • 海の生態系

シンポジウム前日の現地見学会

シンポジウム前日にアザメの瀬地区において現地見学会が行われました。当日は蒸し暑い中にも関わらず60名以上の佐里地区の方々に参加していただきありが とうございました。軽トラックの行列には東京の人達も、さぞビックリしたことでしょう。このように、全国に対しても地元の熱意を十分アピール出来たと思い ます。全国が注目していますので、今後も皆様と合意形成を図り、よりよいものを後世へ残せるよう努力していきます。

当日は、連絡の行き違いにより、地元の方々を、1時間近くも待たせしてしまい、ご迷惑をおかけしました。相知町長には、険悪なムードを吹き飛ばすような演説をしていただきホント助かりました。 事務所若手職員で朝9:00より魚取りを行いました。シンポジウムに来られる方々に松浦川に棲む魚達を見てもらおうと頑張りました。まだまだ下手な投網ですが、様々な魚が捕れていい成果がでました。
捕まえた魚達を水槽に入れハビタットマップ(魚の棲み家の地図)を作成し観察しました。(右の写真)
このように図面に明記すると、どのような場所にどんな魚がいるのか一目でわかり勉強になりました。もうじき夏休みシーズンなので、魚取りイベントなどを考えており、ぜひ子供達にも体験してもらいたいと思います。
捕獲した魚の中には、国内で問題となっている外来種(ブラックバスやブルーギル)もいました。この魚が増えてくると本来松浦川に棲んでいるはずの魚達の生 活環境が悪化し減っていきます。昔の環境に戻すためにも皆で撲滅しましょう。釣ったら逃がさない!

Vol.4新聞でも紹介しましたが、現地でシードバンクを行いました。土は事業地内の土を使用しました。少しずつ芽が出ているようです。今後は、相知町内の土がとれる場所を地元の皆様に相談し、是非とも絶滅危惧種を復元したいと思います。

編集後記

7月中旬に第6回検討会を開催する予定です。今後は、学校を中心に訪問し、子供達への理解とより多くの方々にアザメの瀬自然再生事業の必要性を広めていく予定です。
事務所ホームページでも現在アザメ情報を掲載しています。

(http://www.qsr.mlit.go.jp/takeo/

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