六角川水系の珍しい生き物たち

近年確認されたもの

珍しさのランク
やや珍しい   とても珍しい
範囲矢印
★★ ★★★ ★★★★
六角川周辺が国内でも重要な場所 珍しくなるかもしれないもの
               

魚類

ニホンウナギ

(ウナギ目、ウナギ科)

ニホンウナギ
佐賀県での珍しさ
全国での珍しさ
★★★
 
大きさ
100cm
分布・生活場所
全国。上流~河口・汽水域、ため池、クリーク
佐賀県付近での他の呼び名
おなぎ、びりんそー、あお、くろ、ごま他
生活型
昼間は川底や石 の間に隠れ、夜に活動する。河川では春~秋にみられる。
六角川での確認状況
平成5、16、21年
見分けるポイント
背側は黒色、腹側は白色。幼魚は無色透明に近く、シラスウナギと呼ばれる。
河床の変化、河川の水質と量の変化、餌不足とともに大きく減少している。 河川への遡上は年変動が大きく、気象や水象にも左右される。

エツ

(ニシン目、カタクチイワシ科)

エツ
佐賀県での珍しさ
全国での珍しさ
★★★
 
大きさ
60cm
分布・生活場所
有明海に流入する河川の河口~下流だけでみられる。
佐賀県付近での他の呼び名
えつ、うばえつ
生活型
河川へは主に5~7月に上り、6~7月に産卵がさかんになる。河口付近でふ化し、河川やクリークで成長した後、秋に海に戻る。
六角川での確認状況
平成5、11、16、21年
見分けるポイント
体は銀白色で背側が淡青褐色。刀のような形。
川に上り産卵することから、河川の環境変化の影響を受けやすい。

ヤリタナゴ

(コイ目、コイ科)

ヤリタナゴ
佐賀県での珍しさ
全国での珍しさ
 
大きさ
10cm
分布・生活場所
本州~北部九州。中~下流域の比較的流れの速い場所を好む。
佐賀県付近での他の呼び名
たばや、でんばや、べんばや、べにばや他
生活型
春~夏に流れの緩やかな場所で二枚貝に産卵する。
六角川での確認状況
平成5、11、16、21年
見分けるポイント
体は銀色で、口角に一対の長いひげを持ち、背びれに黒色班が1つずつある。産卵期の雄は背側が青緑色、腹側は桃色で美しい。
産卵場の二枚貝が減少すると同時に減少する。オオクチバスなどの外来種に食べられることも減少の原因の一つである。

アブラボテ

(コイ目、コイ科)

アブラボテ
佐賀県での珍しさ
全国での珍しさ
 
大きさ
7cm
分布・生活場所
濃尾平野~九州。河川の中流。
佐賀県付近での他の呼び名
たばや、でんばや、しぶたい他
生活型
4~8月に二枚貝に産卵する。ユスリカなどの幼虫を食べる。
六角川での確認状況
平成5、11、16、21年
見分けるポイント
成長するに従って体色が黄土色~黄緑暗褐色に変化する。ヒレも黄土色から鮮やかなオレンジと黒の縞模様に変わる。
産卵場の二枚貝が減少すると同時に減少する。オオクチバスなどの外来種に食べられることも減少の原因の一つである。

セボシタビラ

(コイ目、コイ科)

セボシタビラ
佐賀県での珍しさ
★★★★
全国での珍しさ
★★★★
 
大きさ
8cm
分布・生活場所
本州~九州。中流域、小水路。
佐賀県付近での他の呼び名
たばや、でんばや、べにばや他。
生活型
2~8月に淡水産二枚貝に産卵する。
六角川での確認状況
平成21年
見分けるポイント
未成魚の背びれに黒色斑が見られる。成熟した雄は独特の美しい婚姻色を現す。
水路の改変、消失、農薬の使用、河川改修、水質汚濁、ブラックバスなど外国からの移入魚による捕食により減少。

カゼトゲタナゴ

(コイ目、コイ科)

カゼトゲタナゴ
佐賀県での珍しさ
★★
全国での珍しさ
★★
 
大きさ
5cm
分布・生活場所
九州北部。小さな水路やクリーク。
佐賀県付近での他の呼び名
たばや、でんばや、べんばや、べにばや
生活型
マツカサガイなどの二枚貝に産卵する。
六角川での確認状況
平成11、16、21年
見分けるポイント
体の高さに対して幅がうすい体形。体にコバルトブルーのラインがある。
水路の改修、農薬の使用や水質汚濁により減少する。また、産卵場の二枚貝が減少すると同時に減少する。オオクチバスなどの外来種に食べられることも減少の原因の一つである。

カワバタモロコ

(コイ目、コイ科)

カワバタモロコ
佐賀県での珍しさ
★★★★
全国での珍しさ
★★★
 
大きさ
6cm
分布・生活場所
生活場所:中部地方~九州北西部。ため池、クリーク。
佐賀県付近での他の呼び名
めだか
生活型
5~7月にかけて沈殿した植物に産卵する。
六角川での確認状況
平成16、21年
見分けるポイント
体に暗色の縦模様があり、その上に金色の筋が光る。産卵期の雄は全身に金色に輝く。
水路の改修や水質汚濁によって減少する。またオオクチバスやブルーギルなどの外来種に食べられることも減少の原因の一つである。

カワヒガイ

(コイ目、コイ科)

カワヒガイ
佐賀県での珍しさ
全国での珍しさ
 
大きさ
13cm
分布・生活場所
愛知県~九州北西部。中~下流域の流れがわずかな砂礫底。
佐賀県付近での他の呼び名
あぶらはや、あぶらめ
生活型
5~7月に、淡水にいる二枚貝の中に卵を産みつける。
六角川での確認状況
平成21年
見分けるポイント
口が小さく、眼が大きい。各ヒレは丸く美しいオレンジ色。背ビレには特徴的な黒色班が見られる。
産卵場の二枚貝が減少すると同時に減少する。オオクチバスを移植すると餌とするため激減する。

ゼゼラ

(コイ目、コイ科)

ゼゼラ
佐賀県での珍しさ
全国での珍しさ
★★
 
大きさ
7cm
分布・生活場所
濃尾平野、琵琶湖淀川水系、山陽地方、九州北西部。中流域、細流、クリークの流れのない淀みの砂泥底にいる。
生活型
産卵は4~7月。ヨシやマコモの根に産みつける。
六角川での確認状況
平成21年
見分けるポイント
体は長細く、口が小さい。色は灰白色で、瞳と同じ大きさの円形の暗色班が縦に並ぶ。
泥の表面にある藻類などを好んで食べ、動物プランクトンも食べる。生息場所が限定されている。

ツチフキ

(コイ目、コイ科)

ツチフキ
佐賀県での珍しさ
全国での珍しさ
★★★
 
大きさ
10cm
分布・生活場所
濃尾平野~九州。中~下流、水路、クリークの河床が砂泥の場所。
佐賀県付近での他の呼び名
かまつか、かもつか、ぎょうとく、すなせせり
生活型
4~6月に産卵する。ユスリカの幼虫などを食べる。
六角川での確認状況
平成5、11、16、21年
見分けるポイント
カマツカに似ているがツチフキの口には突起がない。目の前方にくぼみがあり額が‘おでこ’のように飛び出して見える。
浅く、泥が多い河床に潜る。全国ではどこにでも生息している種ではない。

ドジョウ

(コイ目、ドジョウ科)

ドジョウ
佐賀県での珍しさ
佐賀平野で☆
全国での珍しさ
 
大きさ
12cm
分布・生活場所
全国。上流域の下部~下流域、細流、水田。
佐賀県付近での他の呼び名
どじゅう、どんじゅう、きねかんどじょう他
生活型
6~7月に用水路から水田へ上り夜間に産卵する。
六角川での確認状況
平成11、16、21年
見分けるポイント
腹以外は全体に褐色を帯び、腹側は淡色。口ひげが5対あり、3対は上唇にある。
昔から重要な食用魚であったが、水田等がなくなり減少している。

ヤマトシマドジョウ種群

(コイ目、ドジョウ科)

ヤマトシマドジョウ
佐賀県での珍しさ
全国での珍しさ
★★
 
大きさ
10cm
分布・生活場所
九州と山口県。中流域の流れがあり、底質が砂礫の場所。
佐賀県付近での他の呼び名
しまどじょう、すなくいどじょう
生活型
砂の中の小動物を吸い込み、砂を吹き出し、前進しながら餌をとる。
六角川での確認状況
平成5、11、16、21年
見分けるポイント
口ひげは6対で、体側、背中に黒褐色の点列がある。眼の下にかたいトゲがある。
河川改修による生活場所の減少や水の汚れなどにより減少。

アリアケスジシマドジョウ

(コイ目、ドジョウ科)

サンインコガタスジシマドジョウ
佐賀県での珍しさ
★★★★
全国での珍しさ
★★★
 
大きさ
5~6cm
分布・生活場所
九州の有明海流入河川。中下流域の浅瀬や流れのあるクリーク。
佐賀県付近での他の呼び名
しまどじょう、すなくいどじょう
生活型
砂泥底~泥底の適度に植物帯が発達した浅瀬などにいる。
六角川での確認状況
平成21年
見分けるポイント
ヤマトシマドジョウに似ているが、その大きさ(13cm)にはならない。従来、スジシマドジョウ小型種点小型とされた種、あるいはスジシマドジョウ小型種九州型とされた種。
河川改修による一時的水域の消失、連絡性の悪化。農薬の使用、水質汚濁などにより減少。

アリアケヒメシラウオ

(サケ目、シラウオ科)

アリアケヒメシラウオ
佐賀県での珍しさ
★★★★
全国での珍しさ
★★★★
 
大きさ
6cm
分布・生活場所
有明海。下流域~河口域。
佐賀県付近での他の呼び名
しらうお
生活型
産卵は4~5月、主に砂底で行われる。
六角川での確認状況
平成21年
見分けるポイント
見分けが難しいが、他のシラウオより小型で胸ビレ条数が20本以上あり、その部分が大きい。
生息域が感潮域と限定しており、生活環境の変化により減少。

ミナミメダカ

(ダツ目メダカ科)

メダカ南日本集団
佐賀県での珍しさ
全国での珍しさ
★★
 
大きさ
4cm
分布・生活場所
本州(丹後・但馬地方から西)~琉球列島。
佐賀県付近での他の呼び名
かわくじら、ざっこ、たいわし他多数
生活型
日中は明るく浅いところで餌を食べ、夜間は昼より少し深いところや草場ですごす。群れて行動する。
六角川での確認状況
平成11、16、21年
見分けるポイント
雄雌の違いは背ビレ。雄は平行四辺形で破れたように見え、雌はやや先細りになっている。
生活場所の減少や外来種のカダヤシとの置き換えなどで減少。

ヤマノカミ

(カサゴ目、カジカ科)

ヤマノカミ
佐賀県での珍しさ
★★
全国での珍しさ
★★★
 
大きさ
16cm
分布・生活場所
有明海側の中~下流域だけでみられる。
佐賀県付近での他の呼び名
かわおこず、かわんかみ、たちゃ他
生活型
11月から川をくだり、1~3月に河口の沖合でタイラギ等の二枚貝に産卵し、稚魚は5~7月にかけて川に戻る。
六角川での確認状況
平成5、11、16、21年
見分けるポイント
体はトゲ状のうろこでおおわれ、口は大きく下あごがやや出ている。鮮やかなオレンジのエラを持つ。
稚魚の成育海域の減少や堰などによる遡上の阻害により減少している。

スズキ

(スズキ目、スズキ科)

スズキ
佐賀県での珍しさ
全国での珍しさ
有明海で☆
 
大きさ
100cm
分布・生活場所
全国。下流域、河口・汽水域。
佐賀県付近での他の呼び名
はくらご、はくら、あかめばくら、せいご他
生活型
冬に外洋の岩礁地帯で産卵。6月頃5cm程に成長し、河川に上る。8月頃10cm程になり中流域近くまで上るものもいる。
六角川での確認状況
平成16、21年
見分けるポイント
体は左右から押しつぶしたように平たく細長い。口は大きく下あごが出ている。背びれにたくさんの黒班があるが、成長とともに消える。
河川改修等の河口の環境変化により減少している。

ムツゴロウ

(スズキ目、ハゼ科)

ムツゴロウ
佐賀県での珍しさ
全国での珍しさ
★★★
 
大きさ
18cm
分布・生活場所
有明海。有明海側の下流域、河口・汽水域の干潟でのみみられる。
佐賀県付近での他の呼び名
むつ、むっとう、ほんむつ
生活型
干潟の上で4~11月に活動する。
六角川での確認状況
平成5、11、16、21年
見分けるポイント
成体は緑がかった灰色~褐色に瑠璃色の小斑点が点在する。特に背ビレと尾ビレには密集している。
干潟の消失、乱獲により減少している。

トビハゼ

(スズキ目、ハゼ科)

トビハゼ
佐賀県での珍しさ
★★
全国での珍しさ
 
大きさ
10cm
分布・生活場所
東京湾~九州。河口、汽水域の干潟。
佐賀県付近での他の呼び名
かっちゃむつ、かっちゃん、かなむつ他
生活型
水陸両生で干潟の上を活発に飛び跳ねる。
六角川での確認状況
平成5、11、16、21年
見分けるポイント
ムツゴロウに似ているが、瑠璃色の斑点はない。ムツゴロウより固く粗い泥でも生息する。
干潟の消失等の環境の変化により減少しやすい。

ワラスボ

(スズキ目、ハゼ科)

ワラスボ
佐賀県での珍しさ
全国での珍しさ
★★
 
大きさ
35cm
分布・生活場所
有明海側の河口・汽水域の干潟でのみみられる。
佐賀県付近での他の呼び名
じんちき、すぼ、どうきん、どきゅう
生活型
6~7月に産卵し、稚魚は7~11月に河口で見られる。
六角川での確認状況
平成5、11、16、21年
見分けるポイント
うなぎ型の魚類で、体の色は淡紅色、紫色、灰褐色と様々。歯が口から露出した独特の顔。
干潟の消失等の環境の変化を受けやすい。

ハゼクチ

(スズキ目、ハゼ科)

ハゼクチ
佐賀県での珍しさ
全国での珍しさ
★★
 
大きさ
40cm
分布・生活場所
有明海側の下流域、河口・汽水域の干潟だけでみられる。
佐賀県付近での他の呼び名
はしくい、ながれはしくい、はぜ他
生活型
春~秋は河川やクリークに生息し、2~4月に海に下り、干潟で産卵する
六角川での確認状況
平成5、11、16、21年
見分けるポイント
若い個体はマハゼに似ているが、成長すると体が伸びる。体色は背面は灰褐色、腹部は乳白色である。
生息域が限られているため、環境の変化を受けやすい。

ショウキハゼ

(スズキ目、ハゼ科)

ショウキハゼ
佐賀県での珍しさ
★★
全国での珍しさ
 
大きさ
10cm
分布・生活場所
愛知県、有明海・八代海。砂の多い干潟、浅い海域。
生活型
5~9月に二枚貝の空殻に産卵する。
六角川での確認状況
平成11、16、21年
見分けるポイント
体色は灰褐色でまだら状。体の前方はやや平たい。頬と下アゴにヒゲがある。
生息場所が限られていることから、環境の変化の影響を受けやすい。

参考文献:

  • 「レットデータブックさが」 (平成13年8月 佐賀県)
  • 「佐賀県レッドリスト」 (平成16年3月 佐賀県)
  • 「改訂・日本の絶滅のおそれのある野生生物 汽水・淡水魚類」 ((財)自然環境研究センター)
  • 「報道発表資料 第4次レッドリストの公表について(汽水・淡水魚類)」(平成25年2月 環境省)
  • 「佐賀県の淡水魚-人と川と自然を考える-」 (平成7年8月 佐賀新聞社)
  • 「日本の淡水魚」 (平成10年6月 (株)山と渓谷社)
  • 「日本のハゼ」 (平成16年9月 (株)平凡社)
  • 「川の生物図鑑」 (平成8年4月 (株)山海堂)
  • 「河川水辺の国勢調査のための生物リスト」(平成24年9月 国土交通省)

 

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